新人でも、こんな社員旅行に参加義務はない 「労働契約」では、どこまで業務となる?

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「社員旅行の目的や内容が何であるかが問題となります。慰安や親睦が目的の場合は、会社の業務ではなく、そのような社員旅行に参加することは、労働者の負うべき義務ではないと考えられます。

したがって、会社は参加を義務づけることはできませんし、参加しなかったからといって、業務上不利益に取り扱うことはできません」

たしかに、慰安目的の社員旅行が、義務として社員を苦しめるのであれば、それは本末転倒だろう。

参加義務が生じる社員旅行とは?

「一方で、集中的に研修や会議を行うことを主な目的として社員旅行が実施される場合には、会社の業務の一環として、労働者が参加する義務が生じるケースもあるでしょう。

ただし、この場合でも、旅行が休日や夜間などの業務時間外に行われる場合(通常はそうなることが多いと思われます)には、法律上の条件をクリアしている必要があります。労働基準法36条の労使協定、いわゆる『36(サブロク)協定』が締結されていることなどです」

こうした条件が整っていたら、参加する義務が生じるということだろうか。

「条件が整っている場合であっても、業務上の必要が実質的に認められない場合は、参加を義務づけることはできません。たとえば、研修旅行とは名ばかりのもので、実際には観光や懇親を深めるためだけのものである場合などです。

また、労働者に参加できないやむを得ない理由がある場合も、参加を義務づけることはできません」

渡邊弁護士はこのように述べていた。

渡邊 幹仁(わたなべ・みきひと)弁護士
新潟県弁護士会所属
労働問題のほか、離婚・親子関係などの家事事件、男女問題、不法行為に関する事件を数多く取り扱っている。
事務所名:新潟菜の花法律事務所

 

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