日本には「眠ったままの技術」が多すぎる

世界で勝つために変えなければいけないこと

ウッザマン氏は「日本には技術の『宝の山』があるのに、それが起業やイノベーションにつながっていない」と話す
「日本の技術力は高い」「ものづくりに関しては世界一」――。日本人は心のどこかでこう思っているフシがあるが、グーグルやフェイスブックのように世界を股にかけて活躍するグローバルベンチャーがなかなか出てこないことも、また事実である。
こうした中、シリコンバレーのベンチャー・キャピタル(VC)でありながら、日本企業への投資を加速させているのがフェノックス・ベンチャー・キャピタルだ。これまでにフラッシュアニメーションのディー・エル・イー(DLE)や、電動二輪・三輪を手掛けるテラモーターズなどに出資。今後3~5年でさらに200億円を投じたいと意欲を見せる。
実は共同代表パートナー兼CEOのアニス・ウッザマン氏は奨学金で日本に留学した経験もある大の日本通。日本企業への造詣も深く、近著『世界の投資家は、日本企業の何を見ているのか』では、日本企業が抱える問題やそれに対する「処方箋」を論じている。「日本企業のエンジニアリングパワーを信じている」とも話す同氏から見て、日本企業が世界で飛躍するために足りないものとは何なのか。

 

――シリコンバレーのVCであるフェノックスがなぜ日本企業に投資しようと思ったのですか。

もともと私は、東京工業大学の電気電子情報工学部出身で、自分がベンチャーキャピタリストになり、米国企業の次にどこの地域に出ようかと考えたときに恩返しの気持ちもあって日本が浮かんだ。私自身が工学部なので主にIT分野に投資しているが、その点でも日本のエンジニアリングパワー、技術の高さというのは飛び抜けていると思う。

VCが見ているのは中国とインド

――日本企業への投資を増やす理由は。

われわれが会社を設立したのは2011年で、その翌年から日本に投資している。最初に投資したのは「鷹の爪」のキャラクターを持っているDLE、その次に投資した会社はアイアンドシー・クルーズという会社で、グリーンエネルギーナビ・ドットコムという太陽光発電の見積もりサイトを運営している。この会社には設立初期から投資しているが、2011年の大震災以降大きく成長しており、年内には上場する見通しだ。

これまで7社ほどに投資してきたが、今年に入ってからもう少し大きく展開したいと思っていて、今年はすでに10億円を投資した。さらに今後3~5年で200億円程度投資して、何倍も大きな活動をやっていきたいと思っている。今年の始めにはフェノックス・ジャパンも立ち上げた。

――そう思うようになったきっかけは?

投資をしたものが結果を出した。最初に投資したDLEは、フラッシュアニメーショントップの会社だったし、社長も信頼ができたので、彼らがグローバルで闘う支援をできた。米国法人の設立から会計士の紹介まで細かいところまで携わった結果、今年3月にマザーズ上場も果たした。

海外から日本企業へおカネを入れるのは「回収できるのか」「上場できるのか」「上場後の問題はないか」と不安が多いが、それがきちんと倍になって戻ってきたわけだ。それがきっかで、日本でもベンチャーキャピタルビジネスはちゃんと成り立つという実感を得ることができた。

日本国内でそこそこ成長していて、今後グローバル展開を狙いたい、次のソフトバンク、楽天になりたい、という会社はわれわれのターゲット。こうした会社がグローバルプレイヤーになるのに、フェノックスのコネクションが役に立つはずだ。

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