綱渡りのLNG調達、相次ぐ原発停止で需要が急増

7月末、大阪・堺市西区の液化天然ガス(LNG)備蓄基地に、LNG9万トンを積んだ巨大船がカタールから入港した。買い主は関西電力。原子力発電所の稼働率が下がる中、夏場の電力最需要期を控えて、火力発電用の燃料としてLNGを追加で緊急に確保したのだ。

LNGの追加調達に奔走しているのは関電だけではない。東京電力では福島第一原発事故後の3月末から、付き合いのある売り主に片っ端から声をかけて当面の確保に乗り出した。政府の要請で浜岡原発を停止した中部電力も5月に三田敏雄会長が自らカタールへ飛び、政府首脳に掛け合って追加調達にこぎ着けている。「(原発の稼働増で)将来的に需要は減っていくはずだったのに、震災で状況が一変した」(東京ガスの木本憲太郎原料部長)。事故以降、日本でLNGの需要が急速に高まっている。

ベース電源の原発停止 脚光を浴びる天然ガス

事故を機に、原発の安全性への不安が広まる中、定期点検入りした原発が再稼働できない状況が続いている。国内に54基ある原発のうち、現在稼働しているのは10基のみだ。それらも順次定検に入るため、来春には全基停止という事態に陥る可能性が高い。

電力各社はこれまで、国の原発推進策にのっとり、原発をベース電源に据えてきた。一方、火力など“旧来型”の発電はピーク時の調整弁として使う戦略を進めてきた。

ところが、3月以降、原発がベース電源として機能しなくなり、火力発電がその代替として使われるようになった。電気事業連合会によると、2011年3~9月の原発の発受電量(電力10社合計)は、前年同期比46・2%減。火力は同12・6%増となった。中でも天然ガスは、原油に比べて比較的安価で、石油や石炭よりCO2排出量が少ないため、原発代替の本命として期待が高まっている。

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