BOPビジネスの正しい進め方《第3回》--現地パートナーとの協力関係が成功のカギ

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BOPビジネスの正しい進め方《第3回》--現地パートナーとの協力関係が成功のカギ

赤羽真紀子 CSR Asia日本代表

BOP市場で成功するためには、貧困緩和や公衆衛生レベルの向上など社会課題を解決するビジネスモデルが必要となる。しかし、企業の本分は「利潤追求」であり、「社会課題の解決」は得意分野ではない。

そこでBOP市場に分け入るためには現地のパートナーと協力関係を築くことが重要になってくる。実際、現地に詳しい地元パートナーと協力することでBOP市場で成功している海外企業は少なくない。

パートナーの候補はさまざま考えられるが、代表的なのはNGO(非政府組織)、政府関連機関、国際機関、地元の企業などだ。こうした相手とパートナーシップを構築するために重要なのは、企業が対等な立場でお互いの得意分野を生かせる関係を構築することだ。そのうえで、お互いの目的がその協力関係を通じて達成できるかどうかである。

このような協力関係を築いている例として知られているのがイギリスに本社がある世界第2位の醸造会社、SABミラーだ。

同社は外部と協力関係を築く以前から「自社の収益性は健全なコミュニティと貴重な自然資源があってのもの」という認識を持ち、農村とそのコミュニティに貢献してきた。たとえば、オオムギなどのビールの原材料をアフリカ、インド、ラテンアメリカ各地の約3万弱の小規模な農家から調達している。

大量に買いつけている特定の調達先も存在するが、長期的視点から「原材料を調達できるチャネルを分散して持つことが、経営の安定につながる」という判断があるようだ。

このSABミラーがアフリカ企業挑戦基金から100万ドルの資金を得て、パートナーに選んだのが、「各組織と協力関係を構築し、アフリカ農村の貧困を削減する」というミッションを持つNGOのファーム・アフリカだった。そして、南スーダンからビールの原材料に含まれるキャッサバを調達するというプロジェクトを2010年から進めている。

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