世界インフレ襲来 熊谷亮丸著

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世界インフレ襲来 熊谷亮丸著

短・中・長期の整理された時間軸の視線をつねに持って、それぞれに前提を認識しつつ読むべき経済予測本である。それも、決して明日世界インフレが襲来する予測ではない。

真骨頂は、資産防衛戦略だ。結論的には、世界的にインフレ圧力が高まる中で、グローバルな金融市場ではスイートスポット(株高・債券高の併存)は終焉に向かう。世界的に金利も上昇に向かうが、世界的な株式相場のサイクルは「金融相場」から「業績相場」に移行し、少なくとも2012年いっぱいは株価の上昇が見込まれる。日本株も東日本大震災後の混乱が一巡すれば上昇が期待できる。ただし、商品価格の高騰が「ワイルドカード」となり、株式のブル(強気)相場の期間は短いという。

本書の予測そのものを鵜呑みにするのではなく、エコノミストの披露した分析手法を学ぶという読み方もできる。読者自身の経済予測思考のトレーニングに適した教材にもなる。

東洋経済新報社 1890円

  

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