TPP閣僚会合、大枠合意が先送りへ 甘利氏「8月末までに次回会合」
[ラハイナ(米ハワイ州) 31日 ロイター] - 環太平洋連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は交渉最終日の31日、大筋合意に至らないまま閉幕した。
議長国・米国のフロマン米通商代表部(USTR)代表は、今回の協議で大きな進展があり、残る問題で協議を継続すると述べたが、次回の具体的な日程は決まっていないと語った。甘利明TPP担当相は、次の会合が開かれれば決着するとの見通しを示し、8月末までに次の閣僚会合を開くのが各国の共通認識だとした。
複数の交渉関係筋によると、今回の閣僚協議で最後まで難航したのは、新薬の特許期間を中心にした知的財産権と乳製品、自動車の分野。共同会見の予定を繰り下げてギリギリの調整を行ったが、最終的な合意を形成することはできなかった。
乳製品では、ニュージーランドが日本、米国、カナダに、大幅な市場開放を求めている。はっきりと名指しすることは避けたが、甘利担当相は会見で「ある国が、過大な要求を複数の国にしている」と述べた。
ニュージーランドのグローサー貿易相も「1─2の問題が残り、そのひとつが乳製品」と述べ、この問題が最後まで難航していたことを認めた。
会議後に公表された声明で、閣僚は緊密に連絡を取り、今回の会合の結果を基に合意を目指すと明記。「TPPは合意に近づき、雇用と経済成長を支えるとこれまで以上に確信している」としている。
フロマン代表も会見の中で「合意は近いとこれまで以上に確信している」と語った。
甘利担当相は「TPPの目標は関税、非関税の障壁をなくすこと。それに向けて大きな前進があったが、もう少しで着地すると思う」と述べ「もう1回閣僚会合を開けば、決着できるのではないか」とし、8月末までの会合開催と合意成立に期待を示した。
次回会合の日程については、確定したほうが進めやすいとの甘利氏の提案に対し、「次の会合で決着するなら慎重な設定が必要と(フロマン)議長が判断した」という。
また、「TPPに対する期待値を上げるには、早く成立させることだ」と語った。
今回、最終合意できなかった要因の1つとして、医薬品の特許をめぐる米国と新興国の根深い対立をを指摘する声があるが、オーストラリアのロブ貿易・投資相は、米、カナダ、日本、メキシコの4大経済国で問題が残って合意できなかったとの見解を示し、「98%は合意できていたが残念」と語った。
利害が複雑に絡む多国間交渉の難しさが、最終局面で浮上した格好だ。
日米を中心に交渉参加12カ国が、大枠合意を目指していた今回の閣僚協議。甘利担当相も次回会合で合意できなければ、最終合意は難しくなるとの見解を示し、残された時間は少ない。
しかし、次回の日程は具体的に決まっておらず、TPPが本当に最終的な合意までたどりつけるのか、不透明感が急速に高まっている。
(宮崎亜巳 Krista Hughes 編集:田巻一彦)
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