なぜ彼女は「ジョブズ再来」と絶賛されるのか ヘルスケア革命を率いる女性起業家の正体

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
セラノスの創業者兼CEOエリザベス・ホームズ。普段は黒いタートルネックを着ていることが多い(Photo by Taylor Hill/Getty Images)

生前のスティーブ・ジョブズ氏を彷彿とさせる、トレードマークの黒のタートルネック。黒に映える、アップにしたブロンドの髪。黒いアイライナーで強調した子鹿のような大きな目。長身の体に黒のパンツやドレスを颯爽と着こなす、米起業家きってのファッショニスタ(おしゃれに敏感な人)――。

今、シリコンバレーで注目の若手起業家の一人として、アメリカのメディアに頻繁に取り上げられているエリザベス・ホームズ氏。同氏は血液検査を「安く、手軽に速く」行う画期的な技術を開発したアメリカのバイオテクノロジー・ベンチャー「Theranos(セラノス)」の創業者兼最高経営責任者(CEO)だ。

スタンフォード大在学中に起業

日本の女性ファッション誌にも「おしゃれ経営者」として取り上げられる彼女は弱冠31歳にして個人資産45億ドル(約5500億円、推計)と、世界でもっとも若い叩きあげの女性ビリオネアである。

日本ではあまり耳にしないが、ホームズ氏が2003年に設立したセラノスもシリコンバレーきっての有望ベンチャーだ。現在の評価額は90億ドル(約1兆1000億円)と、米国で話題のユニコーン企業(評価額10億ドル以上の新興企業)に仲間入りしている。

そのセラノスを立ち上げたのは、スタンフォード大学在学中の19歳のとき。オバマケア(米医療保険制度改革)誕生前のアメリカで、高額な医療費による個人破産や、手遅れで重病になったり命を落としたりする無保険者をなくしたいという思いから、両親に資金援助をしてもらいセラノスを始めた。

その後、ジョブズ氏やフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏などの天才起業家と同じく、大学を中退。CEOとしてセラノスの経営に専念している。ちなみに、同社の役員には、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官など、大物も名を連ねている。

「ザッカーバーグ氏に匹敵する若き女性起業家は、ホームズ氏しかいない。(シリコンバレーで)とても特別な存在だ」と、自身もシリコンバレーの起業家として成功し、現在はイノベーションの専門家として知られるビベック・ワドワー氏は言う。「女性が、有能さの点で男性に引けを取らないことを示す好例だ」。

次ページホームズ氏の一体何がスゴいのか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事