「銀だこ」のたこ焼きは、ここまで徹底する! おいしさへのこだわりを知っていますか
佐瀬社長は、もともと鉄工所の出身。店舗で使用するたこ焼の焼き台の開発を自社で行うことで、スタッフの意見を反映した焼き台や、たこ焼用の鉄板などが製造され、質の高い商品の開発につながっているという。
差別化をすることで消費者の支持を集める
銀だこのたこ焼きには、さまざまな差別化がなされている。一見何の変哲もないかつお節は、さば節をブレンドしたもので、より一層香りが強くなるように工夫しているという。
たこ焼を入れる舟には樺(かば)を使っている。これで余分な油が吸われ、おいしさにつながる。ベースとなる生地には、秘伝のミックス粉とたまご、水を混ぜ合わせるのだが、さらに青のりを混ぜ合わせているのも秘訣だ。青のりを先に入れることで、焼き上がった時には風味が出てより美味しくなる。
生地に入れる青のりと、仕上げにふりかける青のりの種類は異なる。生地に入れるのはうま味の強い「あおさのり」、仕上げにかけるのは川で採れた香りの強い「すじ青のり」といった具合だ。
タコは、たこ焼にした時に最も食感がよい1kg前後のタコのみを使っている。あまり大きすぎると切り分けた時に吸盤がなくなってしまい食感が損なわれてしまうという。
タコは海外に数カ所ある工場で、1日に2万匹のタコをおよそ1000人のスタッフがすべて手作業でむいている。柔らかく、形がいびつなため機械では切ることが出来ないからだ。
そのタコの調達について、ホットランドは異色の取り組みをしている。それは養殖だ。銀だこでは年間およそ700万匹のタコが消費されるものの、このタコの収穫量が世界的に年々減ってきている。
従来からの調達に加えて、自社でタコを卵から育てる完全養殖のプロジェクトに取り組んでいるのだ。実はこれは、まだ世界でも成功例がなく、うまくこぎ着けられるかどうかは今後の課題だ。
たこ焼きという何とも単純な料理でも、徹底的にこだわって差別化すれば、消費者の支持を集められる。たこ焼き店チェーンという業態で、株式上場までこぎ着け、今なお成長を続けるホットランドがそれを証明している。もちろん、日本の消費者の飽きは早く、継続したメニューの改廃をはじめ、商品を陳腐化させない工夫はさらに必要だが、「魂は細部に宿る」という好例といえるだろう。
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