「火花」が電子書籍でもバカ売れする意味 「キングダム芸人」もその可能性を示した
芥川賞を受賞した小説で、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹さん(35)の著書「火花」が売れに売れている。文藝春秋は7月28日、「火花」を20万冊増刷し、累計発行部数が144万部になると発表した。芥川賞候補になった前後から加速度的に売れており、7月16日の受賞発表直後に40万部、21日に20万部の増刷(この時点で累計124万部)を決めていたものの、さらに上積みした。
これに一役買っているのが、テレビだろう。各局がニュースや情報番組などでこの話題を取り上げるとともに、又吉さん自身も連日連夜、さまざまなテレビ番組に登場。書籍のPRに一役買っている。筆者も一度テレビ番組に出たことがあるのだが、アマゾンの在庫数百冊が一瞬で売り切れとなって驚いたことがある。それだけ、テレビの影響力は大きい。
電子書籍版は7.5万ダウンロードを突破
これに関連して興味深いのが、電子書籍の売れ行きだ。「火花」は7月28日時点の実売ベースで7万5000ダウンロードを突破しているもよう。リアルな紙でもこれだけ売れればバカ売れの水準だ。アマゾンのキンドルストアのランキングではもちろん1位。電子書籍のイーブックジャパンによると、「火花」は芥川賞受賞前の約12倍も売れているという。
これは文芸作品では前代未聞の数字ということで、「どうしても作品を読みたいという方が、電子書籍に移行したのが大きい」と、イーブックジャパン広報の木元佐代子さんは話す。特に夜21時以降のダウンロードが目立つというから、書店が閉まった後に買っている利用者数が多いという分析だ。
実は、「火花」以外にもこのような現象は最近よく起きている。たとえば、テレビ朝日の「アメトーーク」。お笑いコンビ・雨上がり決死隊の司会により、さまざまなテーマに得意な芸人たちが「○○芸人」として集まり、その内容を話し合う人気トーク番組で、5月28日に放送されたのが「キングダム芸人」。週刊ヤングジャンプで連載中の人気漫画「キングダム」(集英社)が取り上げられたのだが、この後、イーブックジャパンではそれまでの40倍もキングダムの電子書籍が売れたという。
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