逆ザヤ販売でも儲かる、アマゾン「キンドル・ファイヤ」がアップルの強敵に

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 それに対し、アップルは11年4~6月に売り上げが285億ドルに対し純利益は73億ドル。純利益率は25.6%にもなる。株主からは、新しいものを生み出すことによる先行者利益と、高い市場占有率を期待されており、高い利益率で事業を推進していくことを求められている。とてもではないが、アマゾンのような利幅を無視した価格で売り出すことはできない。

発表会の席で、アマゾンのジェフ・ベゾスCEOは「最高級のものを低価格で提供する」と何度も強調していた。「よいものをお安く」という考え方は、仕入れ販売を行う“小売り業者のDNA”だ。そのDNAを持っていながら、クラウドコンピューティングに関しては高度な技術を持っている点がアマゾンの強みである。この異形の会社は、クラウドサービスの「EC2」、電子書籍端末の現行キンドルでも同じような驚きの価格を実現し、業界のリーディングカンパニーの地位を得た。

カメラもあり、アプリの種類も豊富なアップルのiPadと直接的に競合するわけではないが、タブレット市場でiPadが一部のユーザーを奪われることは間違いない。キンドル・ファイヤは、タブレット市場で独走するアップルの前に初めて現れた、骨のある敵といえるだろう。
(山田 俊浩 =東洋経済オンライン)

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