「英語はムリ」を克服する、たった3つの手順 できる子どもは自然に行っている!

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さて、これをやると、目、耳、口という五感のうちの3つの器官を使うことで、黙読に比べ定着率が高くなるという現象が起こります。目からは英文の形が入り、耳で音という形で入り、口は発音するときの口の形でインプットされていきます。テストでは穴埋め問題がありますが、口が覚えているので、すらすらと言えてしまいます。

この20回の音読ですが、人により回数に差があると思いますが、私が実験したかぎりでは、15回の音読では効果はそれほどなく、やはり20回から効果を発揮しました。ですから20回音読を推奨しています。

2.単語は最後に覚える(音読前に覚えるとすべて無駄になる) 

「英語は単語が重要!」というのは、ある意味正しいですね。しかし、どのようにして単語をインプットするかは、さらに重要なことなのです。

新しいレッスンが始まって、始めに新出単語を覚え、それから本文を勉強するという方法が一般的ですが、初めて見る単語をただやみくもに覚えても、頭にはなかなか入りません。そのような方法をやっていると「英語=単語を覚える=嫌悪感」という構造が出来上がってしまい、いつしか英語から足が遠のきます。

ではどうすればいいか。単語を覚えるのは、例の「音読20回」終了後に行うのです。初めに新出単語を覚えることをやってはいけません。いたずらに頭脳に負荷がかかるだけです。

音読を20回すれば、新出単語は自然と形が目から入り(さらに発音もしているので)、音読終了後は、何となく記憶されています。ですので、その確認の意味で自作単語テストを行って、はっきり書けなかった単語だけを書いて覚えていくのです。今までの調査では、このような方法で行った場合、新出単語の正答率は初回の単語テストで60~70%にもなりました。

知らない単語をすべて覚える場合の負担と、何度か目にしてうろ覚えだった単語(30~40%分)だけを覚える場合の負担では、随分と異なるのです。これによって時間の節約だけでなく、英語に対する嫌悪感が減少し、楽しくなっていくという「おまけ」まで付いてきます。

このように、単語を覚える段階を変えるだけで、英語の出来は天と地ほど変わってしまうのですから、驚きます。

最後の仕上げは問題集で

3.教科書準拠の問題集を、繰り返し3回解く

そして、最後の仕上げは、問題集です。文法問題を含め、問題を実際に解いてテストしなければ成果がわかりません。問題集を使ううえで大切なことは、2つあります。1つは、教科書準拠の問題集を使うことです。学校の試験は、教科書の範囲で行われるため、教科書準拠が望ましいのです。ところが、意外にも、そうではない問題集を使ってしまっている子が多いのです。

通常、学校で配布されているためそれを使うといいのですが、もし配布されていないようであれば、市販されている教科書準拠の問題でもよいでしょう。そして2つ目は、「間違えた問題を最低3回は繰り返し解く」ということです。できない生徒の典型例は、「1回解いて、〇×をつけておしまい」です。これでは問題を解くだけ時間の無駄になります。頭にインプットさせることが目的ですから、間違えた問題を最低3回は繰り返してみてください。

このように、勉強には効果を出すための手順があります。この手順をはずさなければ、少なくとも80~90点は取れるようになります。このように、一見、当たり前のように見えて、意外とその通りにやっていないことが王道だったりするのです。ぜひ、一度試してみて下さい。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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