FIFA理事会、なぜ「1ドル札」が宙を舞ったのか <動画>英国のコメディアンが乱入

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7月20日、ゼップ・ブラッターとFIFAの理事たちが、辞職する会長の後任を選ぶ選挙の日にちを決めるために臨時理事会を開いた。一連の汚職スキャンダルに揺れたサッカー連盟は、改革を真剣に考えているようではある。

しかし、そこにハプニングが起きた。会場に乗り込んできた犯人は、英国のコメディアンであるサイモン・ブロドキン氏。彼はその後FIFAの臨時理事会から連れ出されたのだが、警備が助けにくるまでに、かなりの時間があった。彼のパフォーマンスに、ブラッター会長は激しく動揺していた。

辞任するブラッター会長に向かって投げつけられた1ドルの偽札紙幣を掃除するために小休止がとられた後、会見は再開された。FIFA会長ゼップ・ブラッターは次のように言った。「冒頭で起こった出来事について残念に思う」。

79才のブラッター氏は5期目に当選したが、FIFAに対する汚職の申立てがあった後、退くことを決意した。

彼自身は犯罪行為で告発されていないものの、FIFA はアメリカ司法省とスイス当局による調査を受けている。選挙運動家たちは前国連事務総長のコフィ・アナン氏を会長にしようと呼びかけている。

しかし6大陸のサッカー連盟のうち4つが、欧州サッカー連盟会長のミシェル・プラティニ氏を推すつもりだと言明している。そのフランス人、プラティニ氏は10日ほどのうちに会長選へ出馬するかどうか決断する予定だ。

現在までに合意がなされた改革の中には、一連のスキャンダル後の不正の一掃を目的とした11人から成る特別委員会の発足も含まれる。「執行委員たちへの集中的な誠実性チェック」が行なわれるだろう。

それからより高いレベルのガバナンスのほかに、任期の期限も導入される。しかし世界のサッカーの最高機関を立て直すのに、これで十分なのだろうか。

BGCパートナーズのマーケティング戦略家であるマイク・イングラムは、次のように語る。「最も高い水準での大規模な処分でなければなりません。確かにゼップ・ブラッターは去ります。彼の地位が擁護できないものになっていたことは明白でした。ですが、彼のそばにいた大勢の人たちはFIFA内部で起きていたことを相当程度知らなかったと考えるのは無理があります」。

新会長の選挙は2016年2月26日に行なわれる。後を継ぐ人は長年に及ぶスキャンダルと汚職により傷を負った組織を引き継ぐことになる。

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