なでしこは2016年、見捨てられる危険がある セルジオ越後に聞く「日本サッカーの問題点」

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W杯で準優勝をしたなでしこ。だが2016年には「見捨てられる危険」さえあるという。どういうことか(平野敬久/アフロ)

サッカー女子ワールドカップ(W杯)が終わった。準優勝だったが、今回の結果をどう評価すべきか。また、なでしこの活躍で隠れてしまった感があるが、男子はどうも雲行きが怪しい。ハリルホジッチ新監督は最高のデビューを飾ったように見えたが「本番」初戦、W杯2次予選では格下のシンガポール戦で引き分け。やはり何かがおかしいのか?

大好評だった3月のインタビューに続き、今回も3回に渡ってセルジオ越後氏に「日本サッカーの問題点」を聞く。第1回は「なでしこの未来」について。(聞き手:飯尾篤史)

アメリカとの決勝戦は、言い訳ができない大敗

――サッカー女子W杯で、なでしこジャパンは準優勝という結果に終わりました。どのような感想を持っていらっしゃいますか?

残念だったという気持ちと、よくやったという気持ちが半々ですね。前回王者として注目されながら大会に臨み、なんとか決勝まで辿りついたけど、アメリカにこてんぱんに叩きのめされてしまった。

出鼻をくじいてやろうというアメリカのラッシュに飲み込まれ、3分にセットプレーから先制されてしまいました。なでしこが先制点を許したのは今大会初めてのこと。しかも高さを警戒していたら、その裏をかかれ、グラウンダーのボールで失点してしまったので「二重のダメージ」を受けたと思います。

セルジオ越後 18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。 非凡な個人技と俊足を生かした右ウイングとして活躍、ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産 サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。エラシコというフェイントの創始者と言われる。少年サッカーの指導にも熱心で、1978年より(財)日本サッカー協会 公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック) の認定指導員として全国各地で青少年のサッカー指導にあたる。現在まで1000回以上の教室で延べ60万人以上の人々にサッカーの魅力を伝える。 2013年「日本におけるサッカーの普及」を評価され外務大臣表彰を受けるなど、受賞多数。 現在はHC栃木日光アイスバックスのシニアディレクターや、JAFA日本アンプティサッカー協会 スーパーバイザーとしても活動中 (撮影:今井康一)

その動揺から立ち直れないうちに畳み掛けられ、2分後にセットプレーから失点。さらに14分、16分と立て続けにゴールを奪われた。

その後、なでしこも盛り返して2点を返したけれど、これは序盤で大量リードを奪ったアメリカが手を緩めたおかげでしょう。

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