電子書籍の向かう先--主役不在で離陸せず、シャープは専用端末撤退…
電子書籍元年といわれ、はや一年が過ぎたが、普及速度は遅く、各社苦戦を強いられている。
昨年12月に電子書籍の専用端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」を発売したシャープは、「昨年末は周囲が騒ぎすぎた」と苦笑い。販売台数は開示していないが、都内の家電量販店では「月に数台売れる程度」という。
テコ入れ策として進めるのが、専用端末からの脱皮だ。7月にLinuxベースの独自OSから汎用OS「アンドロイド2・3」に変更。電子書籍だけでなく、幅広い用途に使えるタブレット端末として売り出す戦略を打ち出した。9月15日には、ガラパゴス専用端末の販売を9月末で終了すると発表した。
盛り上がらない中 楽天とパナが参入
パートナーとの距離感にも異変が生じている。シャープはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と電子書籍サービスで合弁を設立、二人三脚で会員を増やしてきた。
が、CCCは6月末に独自の電子書籍サービスを開始した。「ガラパゴスはイオンと組んでネットスーパーに接続するなど、電子書籍だけの世界ではない」というのが理由だ。ユーザーIDやコンテンツは共通化せず、自社のリアル書店と連携を深めて生き残りを図る。
一方、昨年末に専用端末「リーダー」を発売したソニーも、販売台数はいま一つ。「発売直後は計画比2倍の勢いで売れたが、現在はもう少し頑張らないと厳しい」(ソニーマーケティングのデジタルリーディングMK課の北村勝司統括課長)という。端末購入者には、電子書籍が3900円分購入できる実質値引きキャンペーンを行っている。