05年から1万人超削減--終わりなきリストラ、富士フイルムの執念
手綱を緩める気配はまったくなさそうだ。大規模な構造改革をすでに終えた富士フイルムホールディングスは、今2011年度に入ってもなお、さらなる採算性向上に向けた施策を展開していることが明らかになった。
現在、OA機器のレンズ部品加工などを手掛ける「光学デバイス事業部」で、リストラを敢行中だ。100~200人の希望退職者を募集済みで、応募者は今期中に退職するとみられる。同社は「希望退職を募ったのは事実だが、実施時期や人数など詳細は未公表」としている。
相次ぐリストラ断行で計1万人超切る大ナタ
富士フイルムは昨年7月に、同事業を担っていた100%子会社の「フジノン」を本体吸収し、リストラへの布石を打っていた。光学デバイス事業は07年度に売上高1070億円を誇ったものの、10年度には656億円に急減。携帯電話カメラ用非球面レンズの販売冷え込みなどが響いた。利益率も低いようだ。
今回リストラの対象となるのは、旧フジノンの本社機能があった埼玉県内の事業所。従業員数979人(10年度有価証券報告書)のうち約2割に当たる人員を削減する。ほかにも、茨城県や栃木県に構える工場の再編も検討中だ。富士フイルムは「市場の変化に対応するために、つねに効率化を追求している。今回はその一環だ」と説明する。
富士フイルムはここ5~6年の間に、2度にわたる激しいリストラを実施してきた。
第1弾は05年度から06年度にかけて施行。急速にデジタル化が進んだ影響で、かつて利益の過半をたたき出していた写真フィルムが下降線をたどった。そこで、写真事業に携わる人員を約5000人削減。国内外に分散していた写真現像所拠点の統廃合にも踏み切った。