成長と脱デフレがないと超円高は何度も繰り返す--長谷川閑史・経済同友会代表幹事

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成長と脱デフレがないと超円高は何度も繰り返す--長谷川閑史・経済同友会代表幹事

米債務問題に端を発した世界経済の異変。“不安の連鎖”は欧米だけではなく、東日本大震災から復興途上の日本にも及んだ。1ドル=70円台という超円高が、日本企業の業績回復にも影を落とす。政治や行政、企業は今、いかに行動すべきなのか。「縮原発」を提唱するなど財界の論客でもある、経済同友会の長谷川閑史代表幹事を直撃した。

--米国債格下げを発端とする欧米・アジアの株価乱高下は、実態経済を含めた世界の景気不安を予感させます。どう見ていますか。

確かに世界同時株安は現実に生じたが、米国債の格下げがなぜ起きたのかは、格付け会社に聞いてみなければわからない。ただ、民主主義の先進国で政治が行き詰まっていることが、本質的に横たわっている大きな問題なのではないか。

従来の米国なら、共和党と民主党は右派か左派か中道か程度の分かれ方だった。しかし、ブッシュ前政権の頃から極端な右派や左派のグループがその中に生まれ、国益より自分の立ち位置を優先している。

かつて政治家は、公のスピーチでは極端なことを述べても、議会で重要事項を折衝すると、つねに国益最優先で妥協していた。

それが近年、政党の中でも意見が分裂し、まとまり切れない。国債発行の上限額切り上げは今まで何度も行われてきたのに、それが駆け引きの材料に使われ、ギリギリまで混乱を増幅させた。

── 一方で円相場は過去最高値に迫りました。日本企業への深刻な影響は避けられません。

円高は為替の協調介入などを行うことで、一時的に緩和することはできる。だが日本は先進国でも経済規模が大きく、まして単独介入となると効果は極めて限られる。あくまでも対症療法だ。

本質的にはこの国の経済を、安定的でマイルドな成長とインフレに持っていかないと、解決しない。日本だけ世界とかけ離れ、デフレで経済が成長しない中、本質的な部分にメスを入れないかぎり、こうした問題は繰り返し起こる。

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