JALが格安航空進出で共食いのおそれ、背中を押され路線変更

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ただ、カンタスグループの業績を見ると、そうとは言い切れない。10年度の売上高はカンタス航空が前年度比9%減に対し、ジェットスターは同19%増。営業利益ではジェットスターが1・3億ドル(約104億円)、カンタス航空が0・7億ドル(約56億円)と、主従逆転している。

豪州の旅客数推移では、ジェットスターの運航開始(国内線04年、国際線06年)から世界同時不況前の08年度までにおいて、カンタス航空本体は国内線で3%減、国際線で11%減と低迷。09年に続く1000人規模のリストラを今回同時発表した。

そもそもカンタスのLCC子会社設立も、英LCCヴァージン・ブルーの豪州参入への対抗策だったが、カンタス航空だけで見れば分の悪い結果だ。

JALは12年度中の株式再上場を目指している。LCC設立と重なるだけに、その成否が大きく注目される。

(野村明弘 撮影:梅谷秀司=週刊東洋経済2011年8月27日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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