ネアンデルタール人の謎、こうやって解いた

地道な努力で逆転!分子古生物学者の一代記

ホモ・サピエンスは、2番目に脳が大きいヒト族。ネアンデルタール人がもっとも大きかったのだ(写真:iimages / PIXTA)
『ネアンデルタール人は私たちと交配した』(スヴァンテ・ペーボ /著)は、人類のルーツをめぐる最大のミステリーを古代ゲノム解読で突き止めた、スヴァンテ・ペーボ博士による回想記である。
本書の読みどころは、科学的な実験によって明かされる様々な事実の面白さのみならず、それを導き出すまでの長きに渡るプロセスも、余すところなく描いている点だ。「科学の営み」における光と影、その両面を知り尽くした分子古生物学者・更科 功博士の巻末解説を特別に掲載いたします。(HONZ編集部)

 

私たち現生人類、すなわちホモ・サピエンスは、2番目に脳が大きいヒト族である。そのホモ・サピエンスのひとりが、地球の歴史上、いちばん脳が大きいヒト族であったネアンデルタール人に興味を持った。彼はまったく新しい方法を使って、これまでまったくわからなかったネアンデルタール人の行動を明らかにした。それは、私たちホモ・サピエンスとネアンデルタール人の性交渉である。ホモ・サピエンスとネアンデルタール人は、セックスをしていたのだ。

両者の関係はどうだったのか?

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数万年前に、私たちホモ・サピエンスとネアンデルタール人が出会った時に、何が起きたのか。石器の技術が伝わるといった文化的交流はあったらしい。おそらく物々交換も行われていた。もちろん、争うこともあっただろう。ネアンデルタール人が絶滅したのは、ホモ・サピエンスが虐殺したからだと推測する人もいるぐらいだ。しかし実は、両者が争ったことを示す明確な証拠は今のところない。希望的観測かも知れないが、両者の関係は、おおむね良好なものだったのではないだろうか。

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