激減した「サブウェイ」じわり復活している事情 意外と知られていない「パンへのこだわり」

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売りは、素材の新鮮さと種類の多さだ。「ユニット」と呼ばれるショーケースには常時20種以上の素材が並ぶ。

パンの使用期限は1日のみ

サブウェイ
パンは各店舗で午前中に焼き上げている(写真:サブウェイ)

特筆すべきは、パンの新鮮さ。メーカーから生地を冷凍状態で仕入れ、店舗で解凍・発酵・焼き上げを行うのだという。

「小麦の奴隷」など、工場で仕込んだ生地を店舗で焼き上げるタイプのベーカリーチェーンが近年増えているが、サブウェイでは昔からその方式だったわけだ。

焼き上げは朝から行うため、ランチのサンドイッチであれば焼き立てが食べられる(使用期限が1日のため、午前中に提供されるパンは前日に焼き上げたものもある)。これだけ有名なチェーンなのに、ほとんど知られていない事実だ。

そのほか、「サンドイッチアーティスト」と呼ばれる調理係が、オーダーに応じて客の目の前で商品を作る提供スタイルも、サブウェイならではだろう。パンの種類やドレッシングが選べるほか、「玉ねぎ抜き」「チーズをプラス」など具材のカスタマイズも可能だ。

メニュー開発は日本サブウェイが行っており、グローバルのメニューであっても、日本人の好みに合う味に調整されているという。一番人気の「えびアボカド」(590円)は日本独自のメニューだ。また国内メーカーから仕入れているパンは、アメリカオリジナルのものより表面はソフトに、中身はもっちりと仕上げられているそうだ。

サブウェイ
一番人気は日本オリジナルメニューの「えびアボカド」590円(撮影:今井康一)

「ドレッシング・ソース類の調整がもっとも気を遣うところ」と、マーケティングマネージャーの土井英人氏は説明する。

パンに挟む具材が多いため、ドレッシング類の味や、適量を見極めるのが難しい。微調整に2カ月半ほどかかったこともあるそうだ。

確かに、ドレッシングが濃すぎると、新鮮な食材そのものの味がわからなくなってしまいそうだ。さまざまな具材の味を引き立てながらまとめる、絶妙なバランスが要求されるのだろう。

商品開発では、必ず社長の阿相智久氏が最終決定を下すという。

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