「旧ジャニーズ問題」がまだ解決とはほど遠い理由 STARTO社とSMILE-UP.社の「切り離し」が焦点

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しかしながら最近、ジャニー氏による性加害について、英BBCの2本目のドキュメンタリーが発表されている。また、直近で行われた記者会見でも批判されたように、ジャニー氏以外の2名の性加害者への対応、被害者に対する誹謗中傷の問題など、解決できているとは言いがたい問題も残されている。

一方のSTARTO社については、4月に新会社が本格的に立ち上がったが、ファンクラブや版権、資本の問題など、SMILE-UP.社との関係でいまだクリアになっていない点も多々残されている。

旧ジャニーズ事務所が“過去”を清算し、所属していたタレントが新たな場で活躍をするためには、下記の3つの要素が整う必要がある。

1. SMILE-UP.社が被害者の補償と救済を誠実に行うこと
2. STARTO社がSMILE-UP.社と完全に切り離されること
3. STARTO社のビジネスが順調に立ち上がること

現時点ですべてがクリアできている必要はないが、少なくとも方向性は明確に示される必要がある。しかしながら、上記3点のいずれにおいても、解決困難な課題が残され続けているのが実際のところだ。

以下、それぞれについて考察してみたい。

被害者の補償は進捗するも、困難な課題が残されている

1つ目のSMILE-UP.社側の問題だが、被害にあったことが確認できた元タレントへの補償は、誠実に行われていると考えられる。補償金額は明示されてはいないが、一部報道による被害者からの情報では、通常の性加害の補償金を上回る金額が提示されているようだ。進捗状況も適宜公表されており、SMILE-UP.社は一定の説明責任も果たしている。

しかしながら、被害にあったかどうかわからない申告者への対応には課題が残っている。申告者すべてに補償すべきとは言わないが、被害にあったと申告しているにもかかわらず、補償の対象外とされた人の失望は大きいだろう。現時点ではそこまで手が回らないのかもしれないが、そうした方としっかり対話を行って、事実関係を見極めていく必要がある。

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