NECとの相互補完で3年後シェア30%目指す--レノボグループCEO 楊元慶

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──地元の中国や新興市場については、どのような戦略を持っていますか。

われわれの経営戦略の中に「プロテクト&アタック」がある。成熟市場に関しては、マーケットを守り、きちんと利益を取っていく。一方、新興市場については別の考え方をしている。短期的には利益よりもシェアを伸ばすことを最優先と考える。

中国に関してはすでに30%を超えるシェアを持ち、マーケットリーダーとしてのポジションを得ている。これは守っていく。とはいえ、完全に守りに入るわけではなく、3年後にはシェア35%の奪取を目指している。他方、インド、東南アジア、ロシアなどの新興市場では、ここ2年半でかなりの成果を上げることができたが、グループ全体の売上高の中では2割にも満たない。まだまだアタックしていくエリアだ。

──中国ではモバイル端末にも参入しています。

モバイル端末は、スマートフォンにしろタブレットにしろ、PCよりはるかに成長力が高く、変化の激しい分野だ。幸い、5年ほど前からデバイスの開発に取り組んでおり、タイミングよく製品化できた。ただし、モバイルに重要なのはハードよりもむしろソフトだ。まずはアプリケーションやコンテンツのそろっている中国で、法人向けのタブレットやコンシューマー向けで成果を上げ、次いでほかのエリアにも展開する。日本でも近々発売予定だ。

レノボグループ全体の売上高は現在210億ドルだが、できるかぎり早急に拡大したい。NECとメディオンの上乗せ分だけでも50億ドルを超える。さらにその上を目指したい。

──いずれNECとの合弁を解消して単独出資に切り替える、という可能性もあるのでは?

それは現時点ではわからない。将来にわたるNECとの関係次第だが、NECとも遠藤信博社長ともいい関係を築いていきたいと考えている。

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(聞き手:大滝俊一(本誌編集長)、小長洋子 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2011年7月30日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

ヤン・ユアンチン
1964年生まれ。中国科学技術大学計算機科学技術学院修士号取得。89年レノボグループ入社、2001年CEO就任、IBMのPC部門買収などグローバル化推進。08年会長、09年現職復帰。

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