子供の推薦入試を「否定的」に見る親に欠けた視点 推薦入試導入した意図、どのように対策する?

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大学側が総合型選抜を導入し、急激に拡大・多様化した背景には、大学側の「学部での勉強や授業での学びに前向きな生徒を歓迎したい」という強い意図を感じます。

18歳時点の限定的な学力で測ってきた従来型の一般選抜では、志望大学に入学することがゴールになってしまっている生徒もいるでしょう。

先にも述べた通り、一般入試で合格したことに安堵し、燃え尽き症候群になってしまった人もいます。私自身、受験で燃え尽きてしまった人たちが、授業中に寝たり、ゲームをしたり、ひどい人は二日酔いで大学に来る、という光景を実際に目にしました。

一方で、早稲田大学の恩藏直人常任理事はAO入試(総合型選抜)で入った学生のGPA(成績平均値)は、全体的に高いと発言しており、東北大学の花輪公雄理事(当時)も、文部科学省の高大接続システム改革会議において、AO入学者の成績が高いというデータを報告しています。

総合型選抜合格者は、目的意識が高い

受験生や私たちのような教育や受験に携わる者も、推薦入試に対する理解を深めたうえで、どのような選択肢が子どもにとって望ましいのか。子ども自身の選択を尊重し、サポートしてあげることが大事になるでしょう。

孫 辰洋 リザプロ代表取締役

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そん たつひろ / Tatsuhiro Son

2000年生まれ。茨城県の高校から総合型選抜で早稲田大学政治経済学部を初めとした4学部に合格、中国の清華大学にも合格。受験時に周りに経験者がいないことや、都心部に総合型選抜の情報が集中しているのを痛感し、大学1年生時からオンラインでAO推薦コンシェルジュを提供し始め、2020年にリザプロ株式会社を設立。累計2000家庭以上の総合型選抜による大学合格を支援、また実際の指導経験を活かしAbema primeにAO推薦のプロとして出演。『3ヶ月で英検®準1級を合格する』(幻冬舎)、『推薦入試の教科書』(星海社)の監修も務める。

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