子供の推薦入試を「否定的」に見る親に欠けた視点 推薦入試導入した意図、どのように対策する?

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「なんとなく英語が話せるようになりたいから、国際教養学部に行きたい」とか、「スポーツが好きだから、スポーツ科学部を選ぶ」といった具体性のない漠然とした理由では、総合型選抜では合格は勝ち取れません。

なぜこの大学なのか。大学4年間で何を学びたいのか。どのような授業を受講したいのか。どの教授のもとで、どのような指導を受けたいのか、などの質問すべてに答えられるような、学部への深い理解が必要です。

総合型選抜で合格した生徒の志望理由書

実際に、総合型選抜で合格した生徒たちの志望理由書を見てみましょう。

1つ目は、上智大学の総合人間科学部教育学科に合格した生徒の志望理由書です。

「将来私は、日本の教育現場や学校が生徒や社会の国際化に対応し、多様な個性や背景が輝くことが可能な学校現場を構築するために、貴学を志望する。
 (中略)
私は貴学入学後、前述した3つのアプローチを達成するために学習をする。具体的には○○教授の下でアジアを中心とした人の国際教育交流や多文化教育を学び、○○教授の下でより深く教育現場におけるAIの導入等を学習した上で、地理歴史の教員免許の取得を目指す。
また、日本教育史やドイツの教育哲学等も学習をする。何よりも貴学では国際的な視野から日本の教育の在り方を学習することができ、更に多様な分野と連携しながら教育に向き合うことが可能な環境が整備されている」

2つ目は、同じく上智大学の文学部新聞学科に合格した生徒の志望理由書です。

「私はデジタル化が進む情報社会における、新たなマスメディアの役割について研究をしたい。
入学した暁には、同じ志をもつ仲間と共にメディア論やデジタル・ジャーナリズム、時事問題について議論を重ねて学びながら、実践的なテレビ制作、資料調査にも積極的に取り組み、ゆくゆくは社会全体に問題解決のための議論を促し、その問題に苦しむ人々を助けられるような情報発信者となれるよう、全力で邁進する所存である」

同じ大学の志望理由にもかかわらず、学部によって学生に求めているものが、まったく違うことがうかがえます。合格した2人の志望書を見ると、大学での目標、どの教授の下で学びたいのか、などが明確に書かれています。

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