三菱重工の水陸両用車に米海兵隊が熱視線 エンジンと推進システムに注目

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水陸両用車は海兵隊の中核的な装備だが、過去数十年、技術的に重要な進歩はみられていない。水中での速度を上げようとすると、エンジンが大きくなって陸上での機動力が低下する。AAV7の後継としてGDが開発に取り組んだ車両は、コスト増と技術的な問題で2011年に開発中止に追い込まれた。

海兵隊は昨年、後継選定に向けた公募を始めた。5社から提案を受け、今年末までに2社に絞る予定だが、BAEとGDが研究した結果、既存の技術では海兵隊の要求性能を満たせそうにないことが明らかになったという。「技術はあるが、現実的なコストで対応することはできない」と、BAEの広報担当者は話す。

そこで目を付けたのが、三菱重が研究を進める新型車。日米の関係者によると、両社とも三菱重のエンジンと推進システムに注目し、それぞれ協業の可能性を探っているという。「日本の技術は検討してみる価値がある」と、米側の関係者は話す。

AAV7は「旧式すぎる」

離島防衛を強化中の日本は、陸上自衛隊が3000人規模の「水陸機動団」を2018年度までに編成する。米国から52両のAAV7を調達、配備する計画だが、複数の防衛省関係者は「旧式すぎる」と口をそろえる。

水中での速度が遅いことに加え、南西諸島での作戦に必要な環礁を走破する能力がない可能性があり、三菱重はその後継車両を念頭に新型車の研究を進めている。

試作車はまだ試験段階で、実際の開発・生産に入るのは先の話だ。しかし複数の関係者によると、三菱重は米国を含めた海外への輸出を視野に入れている。

三菱重の広報担当者は「社内で研究したものを防衛省に提案したが、個々のプロジェクトの詳細についてはコメントを控えたい」としている。

BAEの広報担当者によると、同社は自衛隊向け新型車の共同開発でも三菱重と協議をしているという。関係者によると、GDも三菱重と協議中だが、同社の広報担当者はコメント控えた。

 

(ティム・ケリー、久保信博 編集:田巻一彦)

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