史上初!韓国紙が日本人を東京特派員に据える理由 日本を正しく理解し、日韓共通の問題を解決したい

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日本常駐の外国人特派員の数は、アメリカの『タイム』誌やロサンゼルス・タイムズといったアメリカの有力メディアが相次いで東京支局を閉鎖するなどして、2000年代初めからぐっと減っている。

このため、フルタイムの東京特派員ではなく、東京在住のストリンガー(特派員契約記者)が目立つようになっている。筆者も10年以上にわたって、イギリスの軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」やアメリカの外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」のストリンガーベースの非常勤の東京特派員として働いている。

これに対し、大貫氏は中央日報のフルタイムの正規社員として採用された。

韓国語で書く難しさ

ただし、韓国テレビのライブにも出演してきた大貫氏がいかに韓国語に堪能だとしても、母国語ではないハングルで書くことの難しさはないのか。

この点について、小此木氏は「大貫さんはそれほど自信があり、実力があるのでしょう。画家イ・ジュンソプについて本を出すなど、大貫さんには日韓の文化交流への優れたセンスがあります。日韓交流の橋渡しとなり、ぜひ活躍していただけることを祈念しております」と話した。

塚本氏も「実は韓国プロ野球を長く取材している室井昌也さんが韓国のスポーツ紙にコラムを書くなど、注目すべき先例はある。日韓のプロ野球界に広い人脈を持つジャーナリストならではの活動だが、大貫さんの中央日報入りはいよいよ一般紙、しかも有力紙への進出であり、また1つ大きな意味がある」と指摘する。

また、「韓国語の記事作成はどうしてもネイティブ並みというわけにいかないが、ソウルの本社のデスクがリライトするものと思われ、まったく問題ないだろう」と話した。

一方、成川氏は、前述の研究プロジェクトで大貫氏が韓国語を日本語に置き換える難しさについて話していたと指摘。「同じ漢字語を使うけども意味は微妙に違うという場合があり、直訳して誤解を生む可能性があるからです。日常会話ではたいした問題ではないかもしれませんが、例えば大統領の発言で、日本の新聞に掲載される記事の場合、敏感な問題となることもあります」と指摘した。

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