部下を抱え込んで離さない上司の遅すぎる後悔 春の人事異動「優秀な社員」に待ち受ける不運

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私自身も、とある部門人事部に在籍していたが、そこでは4月1日付の人事異動に向けて、5カ月前の11月から水面下で動き始めていた。なぜ、早めに動くのかというと、人事異動ほど、人事担当と関係部署との間で揉めることはないからだ。

毎年、葉が色づく11月になると、「ああ、またこの季節が来たか」と、筆者の心はブルーに染まるのだった。

人事のひそかな「プライオリティ」

そもそも人事異動の計画は、各部署の事業計画や要員計画(必要な能力や人員の数)をもとに、どういう社員をどのぐらいの人数、配置させるのか、社員個々の希望や適性、人事評価、キャリアプログラムなどを考慮しながら、練っていく。

ただ、異動計画を練るとはいえ、やみくもに取りかかっていては、いつまでたっても決まらない。私が所属していた部門だけでも、15もの部署があった。それゆえ、人事サイドは、着手する「プライオリティ」をひそかに持っていた。

最もプライオリティが高いのは、部門内でも“最重要”とされる、精鋭揃いのセクションだ。

たとえば、取り扱う金額が最も大きい部署や、最も利益を上げている部署、そのほか、部内でも中枢の企画系部署を“最重要”セクションと位置づけ、まずはその部署の人員配置から考えていった。

人事部の考える「最重要セクション」

一方、業績や利益の大小に関係なく、今後社内的に強化すべきセクションもある。そのような部署の配置も優先的に取りかかった。

最初に決めるのは、部署のマネジメントを行う「次長・課長」のポストだ。そのポストの配置が決まれば、おのずと主任・係長以下の社員の配置も決まってくる。

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