ミスミG「部品の流通在庫がみえない」問題に一石 国内外の約300社と協力しリアルタイムで把握

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部品メーカーは販売機能を持たないため、製品のほとんどを卸業者に託す。卸業者は代理店にその製品を販売し、代理店はさらに二次店へ卸す。工場などのエンドユーザーはここから部品を買うケースが多い。

ただ、この流通の過程で在庫は散り散りとなり、「どこに何がいくつあるのか」が誰にもわからなくなってしまう。

エンドユーザーから見ると、足りない部品がある場合、最初は直接の購買先である二次店に問い合わせることになる。ただ、二次店は小規模な業者がほとんどで、すべての要望に応じられるわけではない。在庫を用意できなければ、工場側は別の調達先を探さなければならない。

大元のメーカーに販売をお願いしても、直接的な取引はごく少数の大口顧客に絞っていることがほとんどだ。在庫を豊富に抱える卸業者に頼んでも、エンドユーザーへ売れば顧客である代理店らと競合してしまうため、あえなく取引を断られる。

つまり、各プレーヤーが立場に縛られ、結果的に不便な状況が生じていた。ディージットは、流通事業を手がけるミスミGが部品供給の「元締め」的な存在となり、こうした課題の解決を図ろうという野心的な試みなのだ。

頭を抱える日々の部品調達部門

部品調達は製造業において効率化が遅れている分野だといえる。神奈川県藤沢市のFA企業「アイメス」で調達を担当する飯野直樹氏も頭を悩ませてきた一人。「1つの部品を入手するために20社に問い合わせた経験がある」という。

FA機器の受注を例にプロセスをたどってみよう。まず、営業が顧客から注文を取ってくる。その際に決まった仕様に合わせ、設計図面を書く。次に必要な部品をリスト化した表を作る。

調達部門の担当者は、これを基に各取引先へ部品を発注する。その種類は数百~数千に及ぶことも珍しくない。当然、1社だけで揃えられるわけはなく、数十~数百社から部品をかき集めることになる。得意先で欠品が生じれば、調達の担当者は血まなこになって探す羽目になる。

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