不正続発の大手損保は"ウミ"を出し切ったのか ビッグモーター、カルテル問題で処分も残る闇

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損保業界の「パンドラの箱」を開けたビッグモーター(撮影:風間仁一郎)

中古車販売大手ビッグモーターによる保険金不正請求問題をめぐって、損害保険大手のSOMPOホールディングスと子会社の損害保険ジャパンは3月15日、行政処分に伴う業務改善計画書を金融庁に提出する。

損保ジャパンなど損保大手4社は、企業・団体向け保険における「カルテル問題」においても、行政処分に伴う業務改善計画書を2月末に提出している。ビッグモーター問題と併せて、業界を大きく揺るがした2大不正事案に、一つの区切りがついた格好だ。

各社は改善計画書の中で、関係者の処分や業務の抜本的な見直し策を打ち出し、改革に向けた姿勢をアピールしている。しかしながら、一連の資料をいくら読み込んでも、組織に蔓延するウミを本当に出し切ろうとしているようには見えない。むしろ不都合な事実は伏せ、いまだにお茶を濁そうとしている部分があるのではないか。

社内からも疑問の声が上がる損保ジャパンの処分

その1つが、損保ジャパンの処分内容だ。

ビッグモーターによる事故車修理費用の不正請求が問題になる最中、損保ジャパンが取りやめていた事故車の入庫紹介について、再開を決めたのは2022年7月6日のこと。同日の非公式会議に出席し、不正黙認の責任を問われた役員は白川儀一前社長をはじめ7人いる。そのうち5人は、4月以降、グループ会社の社長や執行役員などに就く。

中でも社内から疑問の声が上がっているのが、重定祐輝常務執行役員の処遇だ。損保ジャパンの100%出資代理店である、損保ジャパンパートナーズの社長に就くという。だが、パートナーズ社には、ビッグモーターが保険代理店として結んだ自動車保険の契約の大半が移管されている。昨秋、ビッグモーターが保険代理店としての登録を金融庁から取り消されたことに伴い、別の代理店に契約を移す必要があったからだ。

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