シニアの長期投資は「ネットより対面」薦める根拠 安い手数料が思わぬ弊害につながる危険性も

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しかし、対面証券でもこうしたネット取引の併用が可能だから、ネット証券のメリットも得られる。

対面取引のきめ細かな助言やサービスとネット証券のスピード取引の両方のメリットを享受することができる。

割高な手数料は、質の高い助言で取り戻せる

手数料はたしかにネット証券に比べて割高だが、年にせいぜい数回しか取引しないのだから無視できる。

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そして取引手数料が割高な部分は、営業担当者からの質の高い投資助言による高い投資パフォーマンスで取り戻せばよいだけの話だ。

対面証券の営業担当者は、こちらが頻繁に売買する気がないとはっきり伝えてもしつこく電話をかけてくることがあるが、ネット証券ではそうした煩わしさをシャットアウトすることができる。

ただし長期投資を推奨する立場から言えば、ネット証券の手数料の安さが魅力的に感じているとすれば、それは投資家から投機家へと変身しつつある前兆だ。

警戒信号だと受けとめるべきだ。

川島 睦保 フリージャーナリスト、翻訳家

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かわしま むつほ / Kawashima Mutsuho

フリージャーナリスト、翻訳家。1955年生まれ。1979年横浜国立大学経済学部卒業、東洋経済新報社入社。1991年から92年までフルブライト・プログラムでハーバード大学経済学部客員研究員。2000年『オール投資』編集長、2002年『週刊東洋経済』編集長、2009年東洋経済新報社取締役出版局長を経て、2017年に退社。訳書にニコラス・レマン著『マイケル・ジェンセンとアメリカ中産階級の解体:エージェンシー理論の光と影』(日経BP 2021年)、ダレル・リグビー, サラ・エルク, スティーブ・ベレズ著『AX戦略:次世代型現場力の創造:巨大組織の進化形』(東洋経済新報社 2021年)などがある。

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