地球外生命体「火星より木星で発見」期待高い根拠 天文学者が語る太陽系最大の惑星の知られざる姿

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コンピュータシミュレーションでは、酸素を取り込んだ塩水がひとかたまりになって氷の中に沈んでいく様子が示されました。エウロパの氷は厚さ20kmほどあると推定されていますが、およそ2万年かけて酸素入りの塩水が氷の中を沈んでいくのです。

研究者たちによればこの酸素の輸送はとても効率がよく、地上で取り込まれた酸素の86%が地下の海まで運ばれるとのこと。現在までに地下に運ばれた酸素の総量の推定は簡単ではないようですが、もっとも大きな見積もりでは、エウロパの海に持ち込まれる酸素の量は現在の地球の海の酸素量と同程度になる可能性があるそうです。

これは、酸素に支えられた生態系が地下海に存在する、という期待を高めてくれる結果です。とはいえ、これは推定される最大値の話なので、実際にどれくらいの酸素が運ばれたのかはさらなる研究を待つ必要があります。

NASAのエウロパ・クリッパーは2024年に打ち上げ予定で、エウロパに近づくのは2030年。エウロパをより近くから調べることで、表面に存在する物質の組成や地形が手に取るようにわかるはず。

エウロパでの生命存在の可能性を探る、決定的なヒントをもたらしてくれるかもしれません。驚きの報告が届くのを、ゆっくり待つことにしましょう。

ここ10年で加速していた木星の赤い斑点の渦

太陽系最大の惑星、木星。直径は地球の11倍もあります。その木星の象徴とも言えるのが、赤い目玉のように見える「大赤斑」です。木星は白と茶色のストライプ模様をしていますが、そのストライプの境目に大赤斑は位置していて、少なくとも150年以上は観測され続けています。

大赤斑は、地球で言えば台風のような空気の渦です。地球の台風がせいぜい1週間くらいで消えてしまうのに比べると、大赤斑の寿命は桁違い。大赤斑は地球がすっぽり収まってしまうほどの大きさがあるので、そのサイズも規格外と言えます。

次ページ少しずつではあるものの、確実に変化している木星
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