日経平均は年前半4万2000円まで上昇の可能性 東証改革の成果は短期的に株価に織り込まれた

拡大
縮小

一方、日経平均は確かに史上最高値を34年ぶりに更新したが、TOPIXは1989年12月18日の2884.80ポイントをまだ更新していない。日経平均は日本を代表する225社で構成されるが、もともと株価指数は一部の値がさ株(ファーストリテイリングや、東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループなどのハイテク株)の影響を大きく受ける。

今年に入ってからの日経平均の株価急上昇は、アメリカ発の「生成AI銘柄」(エヌビディアやアームなどが主体)の急騰の恩恵を受ける、上記のような日本の半導体関連(同装置・同素材など)銘柄が主導している。

一方、TOPIXは東証プライム市場(旧東証1部)全体の加重平均の指数であり、日経平均対比では半導体関連の比率は低めで、輸送用機器(自働車など)や金融業(銀行・証券など)、内需株の比率が高い。日本の上場会社の経済状態を計る体温計のような存在であるTOPIXが、史上最高値更新までには至らず、青天井のような強気相場入りをしていないのは、そうした事情がある。

だが、日経平均もTOPIXも「配当込みの実質指数」で見ると、日経平均は2020年11月25日、TOPIXも2021年1月8日に更新している。つまり、1989年の平成バブル時の最高値の状態で日経平均やTOPIXの指数を買った人も、決算時に受け取った配当を再投資していれば、すでに3年前の2021年1月にトータルリターン(総利益)でプラスとなり、「誰も損している人がいない状態になった」ということだ。

今後の注目ポイントは「日経平均とNYダウの連動性」

では、ようやく皆が損をしていない状態がやってきたので、需給が改善して「今後の相場は青天井なのか」とも思いたくもなるが、そう簡単ではない。

今後の日本株はニューヨークダウ30種平均株価と連動するとみている。また、日米の株価指数がどこまで上昇するかは、1年先の企業業績予想のモメンタム(増益率などの改善の勢い)や、PERなどの水準次第だ。

平成バブルがピークだった1989年からの日経平均とNYダウを比較すると、非常に興味深い事実が浮かび上がる。まず1989年から、不良債権問題にようやく決着をつけた2003年まで日経平均は下落、NYダウは上昇とまったく逆の値動きをたどった。この間、日経平均の「N」をNYダウの「D」で割った「ND倍率」は、約14倍からなんと約1倍まで低下した。

だが、2003年から直近までは日経平均とNYダウはおおむね同じ動きをしており、ND倍率も1倍程度で推移している(3月6日時点では1倍超)。現在は日経平均が急騰してNYダウに追いついた局面で、2012年や2019~20年の状況に似ている。

この2回とも株価は調整局面に入っており、今回も短期的には過去2回のように影響を受け、調整する可能性もあるとみている。決して弱気というわけではないのだが、やはり日本株は世界の景気敏感株であり、世界の中心であるアメリカ景気の影響を受けるのは仕方がない。

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT