日経平均がどこまで上がるかを真剣に考えてみた 天井知らずのエヌビディアの賞味期限はいつか

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そして、2月15日に公表された2023年10~12月期GDP速報値は、実質では前期比マイナス0.1%成長となった。規模が小さいとはいえ、2四半期連続のマイナスということは「テクニカル・リセッション」である。

しかも内訳を見ると、外需が+0.2%で内需は▲0.3%である。さらに外需のプラスも、輸出の伸びよりは輸入の減少によってもたらされている。つまり、中身が悪いのである。

やっぱり「米国株高」と「円安」が牽引

では、なんで景気が悪いのに株価が高いのか。まずは、「日本企業は海外で稼いでいるので、国内景気が悪くても関係ないんです」という説明が考えられる。実際に時価総額で上位を占めるのは、トヨタ自動車、ソニーグループ、ソフトバンクグループなど海外比率の高い企業である。

次に「実質GDPは伸びなくても、名目GDPが伸びている」という見方もできるだろう。昨年10~12月期の名目GDPは年率換算で596.4兆円と、ほぼ600兆円に達している。物価上昇で個人消費は苦しんでいるけれども、商品価格を上げられるようになったお陰で企業決算は好調である、というわけだ。

ただし、上記のような苦しい言いわけを考えるよりは、単純に「日本株は米国株に連動しているだけです」と言ってしまうほうが楽であるし、真実にも近そうだ。何しろ米国株は史上最高値圏。日経平均が最高値となった2月22日も、早朝にエヌビディアの好決算が公表されたことが上昇の引き金となったのではなかったか。

加えて円安の追い風もある。年初の時点では、「アメリカでは3月にも利下げが始まる」というのが市場コンセンサスだったが、あまりに同国の物価や雇用のデータが強いから、利下げ観測の時期はどんどん後ずれしている。

逆に日本側では、「3月か4月にはマイナス金利が解除されるだろう」という認識が強まる一方で、日本銀行が「その後も『どんどん利上げ』は考えにくい」と盛んにメッセージを流しているので、年内は緩和的な環境が続きそうである。

つまり、足元の日経平均の上昇は「米国株高」と「円安」に牽引されたものと考えていいだろう。面白いことに、TOPIX(東証株価指数)の最高値は1989年12月18日の2884.80ポイントであったが、こちらはあと175ポイントほど割安となっている。

何となれば、日経平均はハイテク関連の値ガサ株の影響を受けやすく、それが円安も相まって追い風を受けている。逆に、TOPIXは時価総額が大きい銀行、電力、不動産など内需関連株の影響が大きい。こちらは円安では買われにくいので、日銀の金融政策転換待ち、ということになる。

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