健康意識が高い人は注意「塩分、糖分は控えめ」の罠 悪者にされがちだが、不足するリスクも大きい

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低ナトリウム血症とは血液中のナトリウム、つまりは塩分の濃度が低くなった状態を言います。ナトリウムには体内の浸透圧を調節したり、神経や筋肉を正しく機能させたりする役割があって、体内のナトリウム濃度が下がると最初は軽い疲労感があり、重症化するとけいれんを起こしたり、昏睡状態に陥ることもあります。

近年増加の一途にある熱中症も、その多くは低ナトリウム血症によるもので、夏の暑い日に塩分を補給することなく水分ばかりを摂っているとひどいめまいに襲われたりするのはそのためです。

軽度の糖尿病でも長生きなアジア人

塩分と並んで悪者にされがちなのが糖質です。しかし、脳を働かせるためにブドウ糖は欠かせません。元気な子どもでも「朝ごはんを抜くと学校の成績が下がる」といわれるのですから、高齢者でブドウ糖が不足すればなおさら頭が働かなくなります。

糖質を摂取する場合に、パンとごはんのどちらがよいかはきちんとした研究やデータがないのでわかりませんが、どちらも糖質を摂るための大切な食べ物です。

「いつも和食だから自分は健康的だ」と言う人がよくいます。納豆や豆腐のような大豆製品、魚、海藻、キノコ、野菜類をたっぷり使ったお惣菜は健康的で、それらをおかずにして食べる炊きたての白米は本当においしいのですが、食べすぎると血糖が下がりにくくなる「インスリン抵抗性」を起こす原因になります。

どの程度が多食になるかは人それぞれですが、和食は肉類のおかずが少なく、タンパク質や脂質をあまり摂れないため、「健康にいい」と信じすぎるのもどうかとは思います。

さまざまな研究から、アジア人は欧米人と比べて糖尿病にかかりやすいことが指摘されていて、その理由が白米の摂取量にあることもわかっています。

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