日系企業を襲うアジアの賃金インフレ--放っておけばどんどん辞める!?

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日系企業を襲うアジアの賃金インフレ--放っておけばどんどん辞める!?

中国の人件費高騰やASEAN経済共同体の実現を見越して、日本企業のアジア進出が加速している。そこで今回はアジア諸国における日本企業の現地法人の人事・労務管理について、須貝信一ネクストマーケット・リサーチ代表取締役に聞いた。

--現在、アジア進出が加速しているようですが、進出企業が増えている国はどこでしょうか?

海外進出企業数に公式統計はなく、国によって大使館が取りまとめている場合は大使館データ、あとは現地の日本企業商工会加入者の発表などが公式なものです。いずれも国別で比較するのは不可能で、不完全です。で、マクロ的には参考となる公式統計に在留邦人数があります。特にアジアの場合は、「在留邦人のほとんどが駐在員とその家族である」ということがわかっていますので外務省の在留邦人数統計で進出トレンドが推計できます。

最新統計の平成22年調査(21年10月現在)の人数ではタイが4万5805人、シンガポールが2万3297人、フィリピンが1万7757人、インドネシアが1万1263人、ベトナムが9468人、マレーシアが9142人、インドが4018人となっています。ベトナムとインドは5年で倍増と、特に急増しています。

他地域を見てみるとアラブ首長国連邦も急増していましたが、ドバイショックの影響か減少に転じています。中国は12万人台で、ここ4年は横ばい傾向と進出傾向の頭打ち感が強く出ています。世界の日系在留邦人数に占めるアジアの割合は現在26.72%で、この比率は年々上昇しています。逆に北米、南米、欧州は低下しています。

同様に進出トレンドを見るには財務省発表の直接投資統計がありますが、在留邦人数のほうが実際の空気感が出ている気がします。企業から見れば大きな投資を控えたとしても「そろそろこの国にもつばをつけておこうか」と「まずは販売拠点で進出」することになりますので、投資金額よりも在留人数が先行しやすくなります。

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