記憶をするためには、世間では一般的に2つの方法があると言われています。ひとつは、「繰り返す」ことです。繰り返せば、誰でもある程度覚えることができるようになります。通常、3回転させることが原則です。
そして、もうひとつは「感情を伴う」ことです。怒りを伴った出来事やうれしいこと、衝撃的なことは忘れたくても忘れられません。感情が動くと覚えてしまいます。体験したことは記憶しやすいとはこのことを言います。
しかし、今回、お話したいことは、これらのことではありません。一部の天才たちが行っている記憶法はどのようなものであるのか、それについてお話したいのです。実は、これらの記憶法の実態はあまり知られていないだけで、わかってしまうと私たちにもけっこう応用が利くものなのです。
記憶力がいい人はこれをやっていた
私は現在、東京大学大学院教育学研究科の博士課程に籍を置いています。そのため周囲にはたくさんの東大生がいます。彼らと話をしていて感じる共通点がいくつかあるのですが、そのうちのひとつが「記憶力が非常にいい」ということです。頭の中に多くの事例がストックされており、しかもその内容を正確に話せるのですから、見事なものです。
また、私が指導した生徒の中にも、天才的に記憶する生徒が少なからずいました。しかしこれらを単に「彼・彼女は天才だから」「特別な人だから」ということで片付けてしまうのはもったいないでしょう。彼らが“天才”と言われるゆえんのひとつに、記憶力のよさがあるのですが、その方法はどうやら次の3つのいずれかを使っているようなのです。
中学受験を目指すある小4女子の塾生と話をしていたときのことです。その生徒は、難しい国語の文章を読んで問題を解いています。大人が読んでも難しいと感じる文章です。しかし、その生徒は、すらすら解き、正解しているのです。
そこで、私がその子に「なんで難しい文章がわかるの?」と聞いてみると、「だって、このお話、この前テレビで見たお話によく似ているもん」と答えました。さらに、理科や社会の知識(言葉)もどんどん覚えていきます。どうやって覚えているかみていると、ダジャレにして覚えているのです。つまり、自分が知っている言葉や出来事とつなげて覚えているのです。日本史の年号を覚えるときに、語呂合わせで覚えた記憶のある方もいるでしょう。それと同じ要領です。これらを誰に教えてもらうわけでもなく、自分で勝手に楽しんでやっているのですから、驚きです。
さらに、私が高校時代のときの出来事です。友人である小野君は受験勉強を始めた時期が遅く、高3になってからでした。選択科目では知識量が膨大な世界史をとりましたが、わずか1年足らずでマスターし、見事に難関大学を総なめにしました。
そのときに、彼にどうやって世界史を勉強しているか聞いたことがあります。すると、「勉強のときにクラスの皆がでてくる。お前も出てくるぞ」といったのです。
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