日本酒「"添加物"で伝統的造り方が減少」は問題か 「速醸」が発明されて…「簡略化の功罪」を考える

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まずは日本酒の造り方から説明していきましょう。

ざっくりいうと、日本酒(清酒)は米に麹を仕込み、さらに酵母を加えて発酵させて造るものです。

米に含まれるでんぷんが麹の力で糖に変わり、この糖を酵母の力で発酵させたものが酒です。

「酒の造り方」グッと簡略して4工程で説明すると…

酒の造り方は本来11工程あるといわれますが、ここではグッと簡略して4つの工程で説明しましょう。

① 麹造り

蒸した米に麹菌を加え、「麹」を造ります。麹はでんぷんを糖に変えます。さらに麹は米のタンパク質をアミノ酸に変え、これがうま味の元となります。

② 酛(酒母)造り

次に「酛(もと)」を作ります。

蒸した米に麹と水を混ぜ合わせ、酵母を加えます。ここで「純粋な酵母」を成育します。これが酛です。

この酛こそは、「日本酒の大元」ともいえる大事な存在です。「酛で味が8割決まる」と言う人もいるほど、重要なポイントです。

酛は「酒母」とも呼ばれます。まさに「酒を生み出す母」といったところです。

③ 「もろみ」造り・仕込み

次に「もろみ」を造ります。

「酛」をタンクに入れ、米、麹、米を3回に分けて加えるのです(3段仕込み)。このとき、酵母が糖をアルコールに変えます(アルコール発酵)。

3回に分けるのは、酵母が一度に多量の糖を発酵できないことと、雑菌の繁殖を防ぐためです。

甘味、酸味、辛味など、日本酒の複雑で深い味わいは、この発酵の過程でもたらされるものといわれます。

この発酵した状態を「もろみ」といいます。

④ ろ過・火入れ

この「もろみ」をしぼってろ過し、品質を安定させるために低温加熱(火入れ)をして、完成させます。

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