定年後「幸せを感じる人」と感じない人の決定的差 迷わずに人生の区切りを迎える重要なテクニック

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「会社のために誠心誠意尽くして、残りの仕事人生をしっかりと締めくくろう」などと真面目に考えても、それを評価してくれる人はいませんし、誰からも求められてはいません。その後の人生のために、今ある人脈やスキルを活かして何かやりたいことをやろう、そのための道を探ろうと考え始めるほうが得策のような気がします。

ゆるく生きれば老後が楽しくなる

「今、この勝負に勝たなくてはならない」「今、うまく立ち回らなくてはいけない」と一生懸命に頑張った結果、仮に運に恵まれ、人にも恵まれて社長や教授になることができたとしても、その先がどうなるかは誰にもわかりません。

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出世競争に没頭すると、知らず知らずのうちに仲間が離れてしまったり、意図せず多くの敵を作ってしまうこともあります。その結果、待っているのは寂しい晩年ということになりかねません。

仕事はできるものの視野が狭い人たちは、できない人を見下したり、年上の人を立てなかったりという無礼を働きがちです。多くの人からは敬遠されて、つきあうのは仕事上の関わりがある人ばかり、利害関係が働くので、心の底から信頼できる人はいないでしょう。立場が変われば、自分のまわりには誰もいないという寂しい人生になりかねません。

逆に、ゆるく生きて、まわりの人ともフランクに仲良くしてきた人は、年をとってもともに楽しめる友達がたくさんいるでしょう。

今、この場で勝つことよりも、長い目で見てうまくいくことのほうが意味のある人生になります。たとえ人生の途中で苦しいことがあっても、今のことばかり考えずにさらに先を見る目を持つ、そんないい意味での開き直りが大切です。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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