日経平均は年前半3万8000円到達の可能性がある 海外投資家は一時的に日本株に失望も

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東証は2023年3月から東証プライム市場とスタンダード市場の上場企業に対して、再三「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」としてPBRの改善を求めてきた。

同年8月29日には、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を踏まえた開示状況を集計して公表。さらに今年1月15日にも最新の状況を公表、マーケットに影響の大きいプライム市場では49%が開示した(対象の1656社中815社、検討中の9%分155社を含む、昨年12月末時点)と発表している。

検討中の9%を除いた「開示40%」という数字は昨年夏の20%から一気に2倍なった勘定だが、この理由は東証が「2024年1月15日から取り組みを開示した企業名を毎月公表する」と企業にプレッシャーをかけたためだ。これによって、昨年末までに取り組み等を開示する企業が駆け込みで急増した。

この改革の進捗状況が急増する一気に進むと期待した目ざとい海外投資家が、年初から一気にプライム市場の株式を買ったため、日経平均は急騰したのだ。

しかし、足元ではすでに短期的な天井を打っており、2月の外国人投資家は様子見となる可能性が高い。繰り返しになるが、東証の「一覧表毎月公表」の効果は、2月以降数カ月間は期待できないと見ている。残念ながら、次回2月15日公表分では1月15日の公表に間に合わなかった企業の駆け込みが一部はあるが、公表数が大きく増えることはないだろう。その後、3月15日から7月15日まではほとんど増えず、次回の開示増は8月15日になると見る。

なぜ次の開示件数増は8月になるのか?

ではなぜ次の開示件数増は8月15日になるのだろうか。日本の上場企業の多くは3月末が決算期だ。改革の状況なども記載される重要なコーポレートガバナンス報告書の多くは、6月の株主総会終了後、7月上旬までに提出・公表される。東証がそのコーポレートガバナンス報告書から、7月末で改革への取り組みを記載して集計、公表するのは8月15日ということになる。

よって、当面は東証改革への期待が継続してモミ合いが続くかもしれないが、2月15日の公表で、市場が開示件数の増加ピッチが鈍ることを認識すると、短期的に株価が下落するリスクもある。

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