日経平均は年前半3万8000円到達の可能性がある 海外投資家は一時的に日本株に失望も

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3つ目は、1月15日に東京証券取引所が発表した「低PBR(株価純資産倍率)改革による一覧表公開」への期待」だ。海外投資家は、改革の進展によるサプライズを期待して、年初から先回り買いしていた。

海外投資家の過剰な期待がいったん幻滅に変わる懸念

では、今後はどうなるだろうか。私は短期的には前述の3万6984円(1月23日ザラバ)が当面の上値と見ている。ここから最長で1カ月程度の健全な株価下落があることも想定したい。もし調整ということになれば、今回の高値から2000円前後(5%前後)の下落は覚悟しておきたいところだ。

下落の主な理由は、海外投資家の「2つの過剰な期待」が短期的には幻滅に変わるとみているからだ。

まず1つ目は新NISAだ。海外投資家は、前出のとおり、新NISAスタートで個人投資家の大幅買い越しを期待した。だが、個人投資家は6週連続で売り越し、今年1月1週目から3週間連続で期待を裏切った。これは保有していた株式が急上昇したことで、断続的な売り(利益確定売りや、長期で塩漬けになっていた株式のやれやれ売りなど)が続いているからと推測する。一方で、今後5%以上の下落がある局面では、押し目買いに入ってくるとみている。

2つ目は、「東証の低PBR改革による一覧表公開」への期待が一巡することだ。海外投資家は、さらなる改革進展によるサプライズを期待しているようだが、実は次回の2月15日の一覧表公開後は半年先の8月まで開示件数の増加ピッチが鈍くなることが事実上判明している。このことで東証の改革に期待していた投資家が、一時的にがっかりするのではないか。これが今回の配信で最も言いたいことだが、まだ市場参加者の多くは、この事実に気づいていないのではないのかと心配している。

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