都会のローカル線「南武線の支線」に新駅の狙い 小田栄駅、設置費用は川崎市とJR東日本が折半

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昔も今も貨物輸送が主力の区間で、旅客輸送はE127系になっても2両編成のままで、朝は1時間に5本の運行があるものの、日中は40分間隔という、地方のローカル線に近い状況だ。

小田栄駅と電車
小田栄駅の浜川崎方面ホームと電車(筆者撮影)

理由として考えられるのは、浜川崎支線の300mほど北東を走る道路「市電通り」に、川崎市交通局および川崎鶴見臨港バスの路線バスが、日中でも5分おきぐらいに走っているからだろう。

ここを走っていた川崎市電は1969年に廃止され、路線バスが後を継いだ。浜川崎支線の起点が尻手駅で、八丁畷駅で接続する京急電鉄は普通列車しか停まらないのに対し、バスは川崎駅から出ており利便性は高い。多くの人がバスを使うのは理解できる。

なぜ新駅が生まれたのか

ではそんな路線になぜ新駅が生まれたのか。これは川崎市が進める沿線の再開発と関係がある。

川崎市の東京湾沿岸地域は第2次世界大戦前から、京浜工業地帯の一部として発展を続けてきた。浜川崎駅の海側には日本鋼管(現JFEスチール)の生産拠点が広がり、内陸側には市電通りとの間に昭和電線電纜(でんらん・現SWCC)の工場があった。

しかし高度経済成長に伴い、大気汚染や交通渋滞などが問題になり、工場移転が始まった。浜川崎駅周辺でもこうした動きが出はじめ、2002年に国から都市再生緊急整備地域の指定を受けたことから、「南渡田周辺地区」整備計画を策定した。

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