大阪で「1日1億円超チョコが売れる」催事の正体 阪急うめだ本店「毎日でも来たくなる」仕掛け

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チョコレートを理解するため、エクアドルやコロンビアなど、8カ国ものカカオ産地へ赴いた。自分がお客さまなら何が楽しいかをとことん考え、改善を重ねた。

会場を広くし、通路をできるだけ広くとるのは、「お客さまが、混みすぎだから帰る、と話すのを耳にしたから」だ。行列を自慢にせず「なるべくお待たせしないこと、行列ができたとしても、いかに心地よくお買い物していただけるかを、考えています」。

出店は、ブランドの自主性を重んじている。多くの催事は、注目ブランドに声をかけるなどしてイベントを作るが、阪急は異なる。バイヤーがブランドへ、企画の趣旨や思いを説明会などで先に説明し、それを受けたブランドが手を挙げ、参加したい企画をバイヤーに申し込むスタイルだ。

オリジナル企画が目玉

「今年はなに?」とファンが心待ちにする目玉は、オリジナル企画。ブランドの壁を超えてチョコが集まる売り場で、書店に例えれば、出版社ごとでなく「経済」「心理」といったジャンルごとに本が集めてあるイメージだ。「チョコのお菓子」「キャラメル×チョコ」「オレンジや柑橘×チョコ」などの売り場に、あらゆるブランドのチョコがずらりと揃う。

これらの企画は、高見さんをはじめ、社内から選ばれた10人の「バレンタインチョコレートプロジェクトメンバー」から生まれる。「楽しさ世界No. 1」を目指し、メンバーは真剣に議論。決まった企画には担当者がつき、商談から売り場作りまでの責任をもつ。

「かんきつジェット」(柑橘×チョコの売り場)担当の寺村霞さん(左)、「チョコレート ミーツ キャラメル」担当の佐藤有紀奈さん(中)と春日桃花さん(右)。社員が売り場を盛り上げる(写真:著者撮影)
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