「日韓協力」で世界コンテンツ市場を開拓できる理由 デジタルハリウッドと韓国コンテンツ振興院がスクラム

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KOCCAトップの趙炫來(チョ・ヒョンレ)院長が、今回のイベントのために訪日した。「このイベントを皮切りに、日本市場への進出を加速させるための支援策を用意するために努力する」と意欲を見せた。

「GeeK waves」のために来日した韓国コンテンツ院の趙炫來院長(写真・デジタルハリウッド株式会社提供)

韓国コンテンツ産業をリードする趙院長は、日本のコンテンツ産業をどう見ているのか。今回のイベントや今後の日韓協業について話を聞いた。以下はその、一問一答だ。

――日本をはじめ世界で韓流コンテンツの人気が衰えません。

韓国のデジタルコンテンツ産業は、世界市場に向かって開拓していくほかありません。それはデジタルコンテンツがグーグルなどのグローバルなプラットフォームに乗せて普及せざるをえないためです。

そのためには、韓国人だけの思考や文化だけでなく、多種多様な考えを持った人たちが、受け手の心をつかむようなコンテンツがどのようなものかを把握するほかありません。1つの考えだけでコンテンツをつくっても拡大しません。だからこそ、いろんな考えを持つ人が集まってコンテンツをつくることが合理的なのです。

日本はよいパートナーになれる

――その点において、日本のデジタルハリウッドと協業することの意味をどうお考えですか。

今後、AI(人工知能)を活用したもの、最近はあまり話題に上りませんが、例えばメタバースといった世界が広がることで、世界のコンテンツ産業はもっと貢献できると考えます。新たな市場を開拓し、それをさらに大きくするニーズが生まれてくるでしょう。

そういったニーズを獲得し、維持し、拡大するためには自国の努力だけでは足りません。多くのプレーヤーが参画し、新技術を生み出して発展させて世界市場を開拓、あるいは新市場をつくり上げる。将来を考えると、韓国と日本はよいパートナーとなれます。

とくにジーズアカデミー、デジタルハリウッド側は、世界から資本を募って世界に打って出る人が多いと聞いています。この点はKOCCAとしても強く共感していますし、ぜひとも協力関係を深めていきます。

――韓流が注目され始めた2000年代初頭に、「韓国は人口が少なく、最初から世界に向けてコンテンツをつくらざるをえなかった」という話を聞いたことがあります。

そうです。韓国は市場規模が小さい。とはいえ、当初は韓国のコンテンツクリエーターも自国市場でウケることを狙ってつくってきました。おそらく、最初から世界を狙って製作されたのは、Netflixで2021年から配信されているドラマ『イカゲーム』ではないでしょうか。

韓国の市場を考えると、韓国のコンテンツはとても閉鎖的なものです。それでも、世界に向けてコンテンツをつくらなければいけません。それには他国の文化や感情を理解してこそ、世界的なコンテンツをつくることができると思います。

もともと、「現地化」「世界化」といえば、一度つくったコンテンツをその国の事情に合わせて少しつくり替えるというものが多かった。これからはそれだけでは済まないでしょう。よいコンテンツをつくるためには、最初から世界市場を考えて製作しなければならないし、各国の文化への感受性も高めなければいけません。

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