韓国大統領が「岸田首相愛」をほとばしらせるワケ 1日でも長い岸田政権継続を願う尹錫悦

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上川氏が2023年、前任の林芳正・官房長官と交代して就任した際、韓国政府内の一部には先行きを不安視する声もあった。当時の朴振(パク・チン)・韓国外相と林氏は旧知の間柄で、首脳同士と同様、外相会談を重ね、個人的な信頼関係が強まっていたためだ。

しかし、上川氏は2023年9月、就任直後にニューヨークの国連総会に出席し、早速、朴氏と会談した。翌10月に上川氏は、東京都内のホテルで開かれた韓国政府主催の建国記念日(開天節)の記念レセプションに姿を見せた。現役外相のレセプションへの出席は2018年以降は途絶えており、韓国大使館関係者を驚かせた。

1日でも長い岸田政権を望む尹政権

しかし、たとえ「親韓」的な政治家が有力候補にあがっても、尹政権が岸田政権の1日でも長い存続を切望する姿勢に変わりはない。

実際に政権交代となれば、誰が首相になるかは見通せないこともあるが、何より、これまでトップ同士が引っ張る形で築き上げてきた実績を超える関係をつくれるとは考えにくいからだ。

かくいう尹政権も、2024年4月10日に控える総選挙を前に、厳しい政局運営を迫られている。若者世代の支持が厚いとされる、まだ30代の与党「国民の力」の元代表が2023年末に離党し、新党をつくると宣言した。

さらに政権最大の弱点といわれる尹大統領夫人の金建希(キム・ゴニ)さんをめぐるスキャンダルが浮上し、この問題の扱いをめぐって尹大統領が鳴り物入りで迎えた事実上の与党代表、韓東勲(ハン・ドンフン)前法相との関係悪化がささやかれるなど、マイナス要素が山積し、もともと伸び悩んでいた支持率はさらに低迷しつつある。

尹政権は発足以来、徹底的に左派陣営を攻撃してきた。国会の現有議席で過半数を大きく上回る最大野党といえば、こちらもまた分裂騒ぎが起きているものの、総選挙で勝利すれば、尹政権は任期約3年を残して早くも死に体化すると指摘されている。

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