苦境のコーセー「雪肌精」、社長肝煎り大刷新の成算 看板ブランドで「羽生&大谷」起用の深いワケ

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実際、2022年12月機も雪肌精の国内売上高は73億円と底ばいが続く。クリアウェルネスの一部商品群は今後、「薬用 雪肌精」のシリーズと統合させる方針だ。

外部環境も厳しさを増している。主戦場であるドラッグストアのスキンケア市場は低価格帯商品の勢いが強く、雪肌精の属する3000〜5000円程度の中価格帯は押され気味の状況なのだ。

とくにロート製薬の「肌ラボ」や「メラノCC」といった1000円前後のブランドが勢力を拡大中で、売り場で存在感を放つ。インフルエンサーが製薬メーカーの化粧品として機能性の高さを評価したことが、さらなる人気を後押ししている。

ロート製薬の2023年3月期の肌ラボ関連売上高は前期比17.2%増の142億円、メラノCCは同66.6%増の115億円と絶好調。ドラッグストアの個数ベースで最も売れている商品が肌ラボ、2位がメラノCCと独壇場となっている。目薬「Vロート」が看板商品のロート製薬だが、今や全社売上高の6割超をスキンケアが占める主力事業となっている。

資生堂「エリクシール」も苦戦

同じく化粧品最大手の資生堂も、主力の中価格帯スキンケア「エリクシール」で低価格化の波に巻き込まれている。昨年5月の決算説明会で資生堂の横田貴之CFO(最高財務責任者)が「(日本の)低価格帯市場は、当社の想定以上に強く伸長している」と語るほど、ドラッグストアのスキンケア市場をめぐる勢力図は激変している。

逆風の中で繰り出すコーセーの挽回策が、看板ブランドの1つである雪肌精クラシックシリーズのリニューアルというわけだ。

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