マンション高齢化に潜む"見えない"配管のリスク 負担増を避けたい、まずは「知る」ことから

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錆びた配管の例
洗面室の床下にカメラを差し込んで内部を確認したところ、床下の給水管はさびや腐食が激しいことが判明した(写真:さくら事務所)

その後「硬質塩化ビニルライニング鋼管」をはじめ、さまざまなさびにくい素材が使用されるようになり、給排水管自体の寿命は35~40年くらいまで延びた。新しいマンションほど、配管内部の腐食を防ぐ耐久性の高い材質が使われているということになる。

給排水管の一般的な寿命は35~40年

現在一般的に使われている材質を使用していれば、給排水管の寿命は35~40年が目安となる。ただしあくまで目安にすぎず、まずは自分たちのマンションの配管がどのような材質で作られているのか、耐用年数はどのくらいなのかを確認することが重要だ。

さらに消火管の場合、湿気が多い地下などに埋設されていることも少なくない。条件によってはネジ部分がさびてしまって穴が開くなどし、耐用年数を迎える前に不具合が生じることも想定される。

また配管トラブルが発生後、劣化対策としてどのような工事を行うかについても考える必要がある。劣化した配管を取り除き、新しい配管に取り換える「更新」と、現状の配管を生かした「更生」の選択肢があるためだ。

更生は、配管内部を洗浄し、新たに樹脂などを塗布して皮膜を張ることで配管の延命を行う工法だ。工期は短めで、コストも抑えられるメリットがある。ただあくまで延命処置にすぎず、後々更新工事を行う必要も出てくるのが難点だ。

さくら事務所では、飲料水などに用いる給水管にはできる限り更新工事をおすすめしている一方で排水管に関しては、状況次第では更生工事の選択肢でも問題ないと考えている。給排水管の材質や現状を知っていれば、このような柔軟な対応も可能となる。

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