最高値が見えてきた日本株の独歩高は続くのか? 長期的に見ればこの上昇は素直に評価すべき

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 また、年初の大規模地震発生をうけて、為替市場でドル円相場が一時的に1ドル=143円台へ2円程度円安に動いた。

災害などの有事が為替市場にどのように影響するかは、明確な理屈があるわけではない。東日本大震災発生時に大幅な円高が起きた際には、日本企業による対外資産売却が要因とされた。だが実際には、大震災に対して政策対応が十分行われず、経済の停滞が長引いて、デフレが強まるとの連想が働き、これが円高をもたらした側面も大きかっただろう。

現在の円安は「日銀の機動的対応への期待」の証拠

経済の下振れが起きれば、中央銀行が金融緩和を繰り出すので、通貨安要因になる。今回は有事発生をうけて、2024年に予想される日本銀行のマイナス金利解除が遅れるとの思惑が、円安の一因になった。

元々1月22~23日に開催される金融政策決定会合を機に、日銀が政策変更に踏み出すとの金融市場の思惑が早計だったことの反動がでている側面もある。だが、有事に対して日銀の対応は機動的に変わるという期待で円安が進んでいることは、経済失政が目立った2011年時と現在は異なっていることを意味する。

そして、円安によって日本株が他国の市場より大幅な好成績をおさめている構図は2023年に明確だったが、これは2024年も変わっていない。震災後の対応が教科書通りに行われ円安が進んだことが、年初からの日本株の独歩高の最大の要因だろうと筆者は考えている。

では、このまま日本株の上昇は続くのだろうか。1989年の平成バブル期に記録した3万8915円という史上最高値が近づきつつあることで、「日本株市場もかなりバブルになっている」、と感じられる方が多いかもしれない。

だが、日本以外のほとんどの主要先進国では、株価指数は景気回復の度に最高値を更新している。過去30年もの期間に株価が高値を更新していない日本が例外であり、ようやく普通の国に戻りつつあるということである。

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