中古車グッドスピード「不正会計」の呆れた手口 売上先行計上への経営陣の関与を調査委が認定

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営業本部主導の納車テイでは、隠蔽工作も行われていた。

例えば、監査法人による車両在庫の棚卸作業の際、事前に販売店近くの駐車場に納車テイの車両を移動させ、立会監査の終了後に車両を店舗に戻す行為があった。車両の移動作業には、「販売店のスタッフだけでなく、GS社の本社従業員(経理部の従業員等)も動員されていた」。

GS社の不正で特徴的なのは、調査委が経営陣の主導を認めている点だ。

経営陣が不正を主導、組織全体に蔓延

調査委は、創業者でもある加藤久統・代表取締役社長(調査報告書ではA1氏)について、「具体的な指示をしていたという事実は認められず」としているものの、「報告を受け、これを容認していたものと考えられる」と書く。

ナンバー2である横地真吾・専務取締役(同A2氏)については「GS社において納車テイによる売上の先行計上を主導して行ってきた」のであり、平松健太・取締役兼流通本部長及び元営業本部長(同A3氏)は、「専らA2氏の指示に従って、売上の先行計上のための納車テイに係る処理を営業部長その他の部下に指示していた」と指摘する。

松井靖幸・取締役(同A4氏)は管理本部長でありながら「GS社営業本部による納車テイによる売上の先行計上が行われていることを認識していた」うえ、監査法人に「露見することがないよう対象となる販売店から車両を別の場所に移動させることに加担していた」と記している。

営業本部長(当時)が専務に、嘘納車(納車テイ)となる車両の台数等をメールで報告していた(調査報告書より)

調査委がGS社及びCH社の役職員に対して行ったアンケートでは、回答者431人のうち実に31.8%が、売上計上時期に関する疑義など調査対象となっている行為について「関与又は見聞きしたことがある」としている。

「納車テイが当たり前すぎてそもそも悪いことという認識がない従業員も多いと思う」という声すらあった。

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