名古屋「味噌煮込みうどん」香港で大成功のワケ 「大久手山本屋」香港1号店は1日600人が訪れる

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にもかかわらず、香港で味噌煮込みうどんが大人気となっているのはなぜだろうか。海外出店を手がけた「大久手山本屋」の5代目で専務の青木裕典さんに聞いてみた。

手打ちコーナーにはいつも多くの人だかりができている(写真:大久手山本屋)

「香港の飲食店は合理化されていて、セントラルキッチンで調理したものを店で仕上げていることが多いんです。ウチは創業当時から手打ちにこだわり、だしも毎朝店でとっています。日本の職人による手作りの味が評価されているのではと思っています」

店の入り口の横にはガラス張りの手打ちコーナーがあり、店を訪れた客は青木さんの弟でうどん職人の晃佑さんが麺を打つ姿を眺めることができる。5代目自らが店頭に立って職人の技を披露している。小麦粉と水を手でこねるところから始まり、麺棒で生地をのばして、麺切り包丁で切るという工程をあえて客に見せるのは、職人の技を体感してもらうと同時に、安心・安全もPRすることが狙いだ。

「世界の山ちゃん」の故・山本会長の“遺言”

青木さんが海外進出を意識したのは、9年ほど前。それまでショッピングセンターやアウトレットモールなどから東京や大阪、福岡での出店のオファーがあったが、すべて断っていた。地元以外の場所でご当地の醸造文化はなかなか受け入れられないと判断したためだ。また、意気揚々と東京や大阪に進出したものの、撤退を余儀なくされた名古屋の飲食店も数多く見てきたのも理由の一つだった。

そんな中、知人から日本の鮮魚や生鮮品などを中心に香港の日本食レストランに卸しているゴーゴーフーズの宮松茂幸社長を紹介されたのがきっかけだった。

「『海外で日本人を活躍させたい』という宮松社長の言葉に惹かれて、日本人向けの店ではなく、現地で暮らす人々を相手にした店を出したいと思うようになりました。しかし、私の父である4代目は昔気質の職人なので、絶対に反対するだろうと。そこで、まずは観光で名古屋を訪れた外国人の方に来ていただこうと思いました」(青木さん)

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