ダイハツなど3車種の「型式指定」を取り消しへ 認証試験で不正をしていた問題で国交省が方針

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ダイハツの看板
(写真:東洋経済オンライン編集部)

国土交通省は16日、トヨタ自動車の子会社で軽自動車などを手掛けるダイハツ工業が認証試験で不正をしていた問題を巡り、基準に満たないことが確認された3車種について、量産に必要な「型式指定」を取り消す方針を示した。

国交省はダイハツへの立ち入り検査の結果を踏まえ、「グランマックス」など3車種の型式指定の取り消しに向けた手続きを開始するとした。また、再発防止に向けた取り組みを講ずるよう求める是正命令を同日午後に出すことも明らかにした。

ダイハツを巡っては昨年12月、公表済みだった側面衝突試験の不正に加えて新たに174件もの不正が発覚し、国内全工場で同月から生産停止となった。型式指定の再取得には長い時間がかかることが予想され、トヨタに加え、部品を供給するメーカーや販売店など同社への依存度が高い取引先への影響が懸念される。

ダイハツは22年度世界生産の約6割を国内で製造

型式認証制度では、自動車メーカーは新型車の生産・販売を行う場合に、国交省に申請し、安全基準に適合しているかどうかの審査を受ける。型式指定を受けた車はメーカーが工場で完成検査を行うことで、陸運局などへの車両を持ち込んでの検査を省略できる。型式指定を取り消された車は事実上、生産できなくなる。

三菱自動車やスズキの燃費データ不正問題などを受けて道路運送車両法が2017年に改正され、不正な手段で型式指定を受けた場合は取り消しが可能となった。トヨタ傘下の日野自動車が2022年にエンジン認証不正で初めて型式認定取り消しを受け、その後、フォークリフト向けエンジンで排出ガス試験不正が発覚した豊田自動織機にも適用された。

ダイハツは22年度世界生産の約6割に当たる約87万台を国内で製造。日野自を含めたトヨタグループ全体の車両生産に占める割合は約8.1%で、ダイハツの生産停止が長期化すればトヨタの業績下押し要因となる。また、ダイハツの部品仕入れ先や販売店などに対する補償についてトヨタは支援する用意があると表明しており、その費用が膨らむ可能性もある。

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著者:稲島剛史

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