「初の黒人女性学長」辞任巡るハーバード大の闇 秘密審議でお茶を濁す大学の大きな問題

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「私たちが持ったのは、学術的に確立された原則に基づく決定でなく、公衆による追及だった」とジョンソン氏は言った。「ゲイ氏の研究の重要性と独創性について語ることができる同分野の学者の声に耳を傾ける代わりに、ソーシャルメディア上での嘲笑と悪意の声に耳を傾けたということだ。理事会は確立された大学の手続きに従うのではなく、勝手に顧問を選んで、謎めいた非公開の方法で審査を行った」

「研究不正」とはならなかった盗用疑惑の顛末

ゲイ氏の仕事に問題があるという噂は、匿名掲示板で何カ月と拡散されていた。が、最初に大きく報道されたのは12月10日、議会公聴会での破滅的な証言を受けて、大学理事会がゲイ氏の今後について話し合う会議を開く前のことだった。

その夜、保守派活動家のクリストファー・ルーフォ氏が、「サブスタック」で配信している自身のニュースレターに、ゲイ氏の1997年の博士論文における「問題のある用法と引用のパターン」に焦点を当てるエッセイを掲載した。

フリー・ビーコンはその後、ゲイ氏が発表した学術論文に関する盗用疑惑を詳述する記事を複数掲載。ハーバード大学文理学部の研究公正事務局に提出された2件の正式な苦情について報じた。

理事会は、ゲイ氏の留任を伝えた12月12日の声明で盗用に関する告発を認め、10月下旬に告発を認識していたと述べた。理事会は調査を行った結果、2つの論文に「不適切な引用が数件あった」ことがわかり、訂正が行われると発表する一方で、それらの違反行為は「研究不正行為」のレベルには達していないとした。

ゲイ氏はその時点ですでに、10月7日に起きたハマスのイスラエル攻撃に関する大学の対応が不十分であったと一部で指摘され、圧力にさらされていた。

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